「プエブラ=パナマ計画」と中米-グァテマラの先住民族

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グァテマラの社会発展と生物多様性の重要性(5)

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6. グァテマラにおける生物多様性の発展の展望

6.1 生物多様性と持続可能な発展

 遺伝子・種・生態系の多様な集合体である生物資源は、持続可能な発展のために不可欠である。持続可能な発展は、自然資源の再生能力を完全に奪わずに、社会のあらゆる階層の人々に公平に利益をもたらすことで、国内の深刻な問題の解決に寄与しようとするものである。それにより現在生きている人間のみならず、後の世代がこの国有財産を自由に活用することができるだろう。

6.2 比較優位としての生物資源

 グァテマラの生物多様性は、類を見ない遺伝子や種や生態系により、領土の狭さにもかかわらず、他国と比べて特別な性質を持っている。これはグァテマラにとって戦略的に有利な状況である。というのもグァテマラは世界経済や国際関係における地位を回復するために、この状況を利用するに違いないからである。しかしそのためには、この生物資源という財産を利用する開発モデルの方向性をもう一度明確にし、生物の特質を再認識し、遺伝子操作に伴う利益の公平な分配が重要である。

6.3 交渉要素としての生物多様性

 世界の多くの国々が工業や食糧供給、薬剤や装飾品のために、その生物多様性を利用していることを勘案すれば、グァテマラは国際的レベルでの交渉要素として自らの生物資源を利用できる。

6.4  生物多様性と国家安全保障

 国家安全保障が、標準的な生活を送るための財やサービスを求める、現在および未来社会における(訳注・民衆の)安全保障であるとするなら、国内の生物財産は国家安全保障に必要不可欠な要素となるだろう。その意味では生物資源は、食糧確保、遺伝資源、領土保全、概して言えば、住民が自らの発展によって得た利益を自由に使えるような社会プロセスの多様性、といった文化的多様性を保証するものになるに違いない。

6.5  生物多様性と科学技術力

グァテマラは、生物多様性に関する知識をさらに発展させるための、それ自体が有効活用されるべき実験室という形で自然の力に頼っているのと同様に、研究や保存、利用に関しては、それにふさわしい人物に頼っている。

7. 結論

7.1  生物多様性の現在の発展は、自然の流れ、そして人類誕生以来の歴史の流れの結果である。また、遺伝子や種、生態系の保存、破壊、操作、利用、と様々にその姿を変えてきた社会的活動の産物でもある。そこに内在する意味は、国内・国際社会において大きな変化が起こるに応じて、共に変化してきた。

7.2  グァテマラにおけるスペイン人による植民地化や、その後の自由主義的改革や農業生産の近代化は、新種の持ち込み、生態系の変化、生産物の均質化、文化的多様性の破壊、過剰な外資投入による環境汚染、地方文化の変容、富の一極集中、社会不平等などを助長し、生物多様性に対して激しく影響を与えてきた。

7.3  グァテマラでは、国の発展の根底を成すものとしては適切に利用されてこなかった富の源泉を、生物多様性の中に見出してきた。現在までのところ、発展のために生物が持ちうる潜在力の研究は行われていない。

7.4  グァテマラ国内の社会経済システムの構造や、従来採られてきた開発モデルは、国民の中のほんのわずかな者だけが富を蓄積することを優先してきた。その一方で生態系の破壊が行われ、国民の大部分が貧困に陥り国の自然資源から得られる利益をほとんど享受することができない、という事態が発生した。

7.5 グァテマラが直面している構造的問題、その中でも極度の貧困や紛争などの問題は、生物多様性の破壊を急速に推し進めている。また、生物多様性の保護と持続的利用をめざす政策への障害となっている。

7.6  生産過程で必要とされる技術の使用は、生態系の活力に悪い影響を与えてきた。その中でも特に、従来の農業生産や工業、都市工学で採用された技術はその傾向が顕著である。

7.7  制度に関する政策、その中でも主に土地利用、融資、商業化、とりわけ公共事業などの政策は、それらの制度の事業促進を目指していた。しかし、輸出向け農業の規模拡大、都市への人口集中、無計画な工業発展などが、日常生活や生物多様性を支えるシステムに対し、ひどい影響を与えてしまうことから、結果的にこの事業促進によって動植物の生息環境の縮小、環境汚染、伝統的栽培農地の移動などが引き起こされてしまった。

7.8  グァテマラの生物資源の大部分は、辺境の人々、特に(先住民族の)農村共同体の献身によって、現在まで何とか保持することができた。いわゆる伝統的農地の場合においても、社会組織、地方の英知、文化、伝統的技術、経済的社会的戦略などの要素が組み合わさり、その保存がなされてきた。しかし、生命工学や遺伝子工学から生まれた生産物、特に改良種や薬剤、工業製品などをこれらの人々が利用できないということを考えると、開発や生物の保存に何世代にもわたる彼らの貢献は正当に報われてはこなかったことがわかる。

7.9  保護地域の設定、国際協定の締結、現行法(生物多様性条約)の制定など、生物多様性を保護しようとする動きがグァテマラ国内や世界各地で確かにあったが、それだけでは生物多様性の悪化を食い止め、それを利用できるようにするには不十分だと考えられている。その主な原因は、政治的に働きかけようとする力や、保護を実行に移すための技術的資金的な支えが不足しているところにある。

7.10  生物多様性は、国の中で一般的に必要とされる食糧、遺伝資源、生活を豊かにする資源を提供してくれる国民の安全保障を強化する戦略的要素であるが、今日までほとんどその点で評価されることはなかった。

7.11  経済、商業、政治の分野においてグァテマラが国際的に不利な立場に立たされていることが、グァテマラの発展のために生物多様性の力を強化しようという動きを阻んでいる。この状況は、生物学的・文化的には豊かであるが社会的には貧しい国においてはよくみられることである。

8. 提言

8.1  社会的需要を満たし、生物多様性を含むあらゆる生物資源の適切な利用を保証しうる持続可能な発展のためには、最低限の条件としてグァテマラは社会の不平等性、貧困、周縁性といった問題に立ち向かわなければならない。社会的指標が改善されない限り、国内の生物資源を保護しようという考えは単なる理想になってしまうだろう。

8.2 持続可能な発展を念頭に、そのために生物多様性を保護し適切に利用できる政策、目標、戦略、行動を定める「生物多様性国家プラン」の作成に国のあらゆる機関が取り組むべきである。また、国の発展を示す利益とコストの分配も公平に行うべきである

8.3 生物多様性の発展に向けた国内合意や国際協定を生かすために、意思決定や資金・人材などの運用分野において制度を強化すべきである

8.4 科学技術的な能力をかなりの程度取り戻すことが必要である。特に、教育・研究調査機関、遺伝子バンク、保護地域、科学知識、人的資源、生物多様性に関する実現性のある提言の整備・実行を保証しうる技術が必要である。なぜなら、これらの分野は現在国家的なレベルでの取り組みが行われていないからである。

8.5 国は持続可能な発展のためのモデルを採用すべきである。そのためには国民の広範囲にわたる合意や、民主主義プロセスの強化・公平さの拡大・国家の安全・環境保護や社会的ニーズの充足などの国家政策の再整備が必要とされる。これは、生物多様性に関する国の提言を確立し機能させるための必要最低条件である。

8.6 生物資源の持続的活用は、生物多様性の発展の根本を成している。特に生物資源のある現場の保護のためには非常に重要である。そのため、農業の生産性や土地法令の回復、工業・都市・農村での科学技術の再整備、巨大な生態系の保護、生物資源の経済的・社会的・文化的な面からの適切な評価といったことが、実際に行われるべきである。

8.7 科学技術の発展を、グァテマラ国内の社会・文化・自然の現状にもう一度適合させ、互換性が持てるように働きかけることが必要である。そうすることで自然の生物財産の力を効果的に利用することができ、廃棄物の生態系に対する影響を減らすことができるであろう。

8.8 然るべき機関が、生物多様性の現状やそれが秘めている可能性、危険などを研究することに力をつぎ込むべきである。そうすることで生物多様性の発展に関する具体的な提案が生まれうる。

8.9 国際的レベルでの合意や協定、また国際世界とグァテマラの間での双方の合意・協定を再度表明することで、ローカルな生物財産に対する国の権利を改めて確立し、国際機関に対する交渉の権利を取り戻すべきである。そうすることで生物多様性や、一般社会の発展を保護するような資本が捻出されるようになるかもしれない。

8.10 生物多様性の運用や保護に関する地域共同体の裁量を強化するべきである。また、それぞれの共同体が所有する資源の管理・利用、技術的・財政的支援、地域的な考え方の救済・回復、地域組織の文化的価値やその組織自身の形態に対する敬意など、ローカルな現場の保護を保証するあらゆるものに対する権利を再認識すべきである。というのも、何世代にもわたり先住民族の農村共同体レベルで生物多様性の保護が実行されてきたからである。

8.11 国内のあらゆる人々が生物多様性の重要性に関する理解を広めるように、教育プログラムを作り直すべきである。そうすることで国民の認識が高まり、生物資源の保護やその持続可能な使用に対する集団的責任意識が確立されるであろう。     

翻訳:笠井拓・中野憲志

<注>文中、植物名などの訳については出来る限り翻訳チームで調べましたが、どうしても分からないものもありました。お詫びします。また訳語を御存知の方、是非ご一報下さい。

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