「プエブラ=パナマ計画」と中米-グァテマラの先住民族

プエブラ=パナマ計画をよりよく理解するための17項目のQ&A

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 2000年にビセンテ・フォックスメキシコ大統領がプエブラ=パナマ計画(PPP)の実施を発表して以降、この計画に関する何百という記事や分析が発表されてきました。さらには本も出版されています 。しかし多くの人にとってはPPPは極めて最近知ることができたニュースであるか、未知の存在だと思います。そこでPPPを理解するための案内として、この計画に関するQ&Aを紹介します。

 より詳しい情報に関してはCIEPACの「PPP特集コーナー」を是非参照して下さい。

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私達はPPPに関して以下の疑問点を挙げた。:

1. PPPは幾つかの文言で語れるような計画なのか?
2. 誰がPPPを推進しているのか?
3. PPPは北米自由貿易協定(NAFTA)と照らしてみる必要があるのか?

4. PPPは他の計画とどのような関係にあるのか?
5. 基本的にPPPで誰が得をするのか?
6. PPPでアメリカ合州国の企業だけが得をするわけではないのか、それともやっぱりそうなのか?

7. なぜこの地域が計画の対象になったのか?
8. なぜこれまで多国籍企業の投資がなかったのか?
9. 多国籍企業の投資意欲をひきつける為にPPPでは何がなされるのか?

10. PPPを構成する基本的な事業枠組みどのようなものか?
11. PPPにかかる費用は?そしてそれはどこから出るのか?
12. PPPは開発(発展)にどのようなインパクトがあるのか?

13. PPPにおける環境の問題はどのようになっているのか?
14. 貧困層に何か良い影響はないのか?
15. 代替案はあるのか?

16. PPPに抗議する為に様々な団体や市民は何をしているのか?
17. あなたは何が出来るのか?

以上の疑問に対して、答えは…:

1. PPPは幾つかの文言で語れるような計画なのか?

実はプエブラ・パナマ計画を理解するのは非常に簡単である。PPPは、南部・南東部メキシコ9州及び中米7カ国における、巨大企業が喜ぶように設定されたインフラ建設の為の巨大プロジェクトである。

2. 誰がPPPを促進しているのか?

おそらくほかでもないメキシコがこれを促進している。というのもビセンテ・フォックス政権がこの計画を発案したとされているからである。しかしながら実際には、この計画は前もって世界銀行と米州開発銀行(BID)によって、メキシコと中米諸国向けに青写真が作られていたのである。2000年12月にフォックス氏が大統領に就任してからメキシコ政府はメキシコと中米諸国に広がる様々なプロジェクトをPPPという一つのパッケージに統合したのである。そして2001年の6月15日に行われたエルサルバドル・サミットにおいて、フォックス大統領はこのパッケージを中米諸国首脳に提示し、承認を得たのである。

3. PPPは北米自由貿易協定(NAFTA)と照らしてみる必要があるのか?

NAFTAとは1994年に発行した貿易協定で、国家間、この場合ではメキシコ・カナダ・アメリカ合州国間の通商に関するルールを定めたものである。いまや、アメリカ合州国は同じようなルールを米州自由貿易圏(FTAA)として知られる自由貿易地域を創設して、北米・中米・南米・カリブ海地域(キューバを除く)の34ヶ国にまで広げようとしているのである。

FTAAはアメリカ合州国にとって政治地理学的な面で大きな重要性がある。勢力的に拮抗関係にある通商上のライバル、つまりヨーロッパ圏やアジア圏に対抗すべく、「ユーコン(アラスカ)からパタゴニアまで」をアメリカ合州国の目の届くところに置く一つの通商ブロックを創設しようとしているのである。FTAAの実現は、アメリカ大陸全体を通商においてアメリカ合州国の支配下に置くことになりかねないのである。

そのためにも通商協定(NAFTAとFTAA)は大企業が求める「正しい状況」を作るためにも必要条件となるのである。PPPは何百万もの政府資金を大企業が欲しがっているインフラ開発へ流す道筋をつけるものに過ぎないのである。

4. PPPは他の計画とどのような関係にあるのか?

PPPはIIRSA(南米地域統合イニシアチブ:Iniciativa para la Integracion Regional de Sudamerica)と呼ばれる南米のインフラ開発プロジェクトと深い関係がある。PPPとIIRSAが求めているものは共通性がある:大企業がこの地域に投資するようなインセンティブを高める為の基本的なインフラ事業、又はインフラがすでに存在する場合はインフラ改善事業を探っているのである。新しい区作られた、又は改善されたインフラによって、例えば道路を改善すれば当該地域を出入りする財をコントロールするような会社の利益は、増加の一途をたどるであろう。

しかし、インフラプロジェクトへの支出は、その大部分がインフラプロジェクト参加国への民衆へしわ寄せとなって押し寄せてくるのである。建造物の費用は私達の税金から差し引かれるか、又はBIDや世界銀行を通じて国自体に課される債務を通じて支払われるが、その債務も結局納税者の税金を使って再び払わなければならないのである。

5. 基本的にPPPで誰が得をするのか?

アメリカ合州国の大企業が一番得をする。PPPは石油や好物、森林、生物多様性、水そして観光資源が豊富な地域多国籍企業の投資を促進することになる。PPPの行われる地域は世界でも指折りの生物多様性を抱える地域であり、このため、製薬会社や種子開発会社、遺伝子操作を業務とする企業を惹きつけているのである。さらに、アメリカ大陸の中で一番狭い地峡を抱える、地理的に戦略上重要な地域となりうる場所であり、それは東西貿易のために『自然の回廊』として形を変えて謳われているのである。

6. PPPでアメリカ合州国の企業だけが得をするわけではないのか、それともやっぱりそうなのか?

確かに、投資資本は利益をあげるべく世界中からPPPの実施地域にやって来るであろうが、様々な要因からアメリカ合州国の企業が確実により大きな利益をあげるのである。その要因を以下見てみる。:

・ まず、非常に言いづらいことではあるがPPPが行われる地域は19世紀からずっと「アメリカ合州国の裏庭」であり、国々はアメリカ合州国の政治や企業の利益を根付かせるべく操作されてきたのである。コリン・パウエル国務長官は常日頃、「我々にとってのFTAA創設の目的は、北極から南極大陸にいたるまでの地域を確実に米国企業のコントロール下に置き、西半球における米国の製品、サービス、技術および資本がいかなる障害や困難もなく自由にアクセスできるように、保障することである 」と口にしてきている。

・ アメリカ合州国の安全保障戦略担当者は9・11事件以降、関心の矛先をメキシコと中米諸国に再び向け始めている。
・ ジョージ・W・ブッシュ大統領は2002年1月に中米諸国との間に新しい自由貿易協定締結を提案している。
・ ブッシュ大統領は合州国議会が迅速に自由貿易協定に関する交渉について審議する見通しを得ており、これはほかのFTAAなどといった通商協定の促進へとつながると見られている。

・ メキシコと中米における対外貿易に至っては、輸出・輸入どちらを見てもアメリカ合州国が最大の相手国となっている。メキシコの場合、85%以上の輸出はアメリカ合州国向けであり、輸入量のほぼ同じ割合がアメリカ合州国で占められている。中米諸国においてもアメリカ合州国向けの貿易はほぼ同じような割合で推移しているが、メキシコほどではない 。

以上の事実を見てもアメリカ合州国の多国籍企業はこの地域に非常に強い結びつきを持っているのである。

7. なぜこの地域が計画の対象になったのか?なぜメキシコ南部・南東部と中米諸国を一緒にするのか?

公式な説明では、天然資源が豊富ではあるがアメリカ大陸の中でも最も貧困が深刻である地域における外国からの投資促進を見ていくためということになっている。米州開発銀行と世界銀行からの後押しもあり、フォックス政権は『地域統合』という手法によって地域の貧困解決に取り組むメカニズムとしてのPPPを提案した。

フォックス政権と新自由主義的立場を取る戦略政策立案者らにとって、貧困は取り組まれるべきものであって「結果」を出す事は必要ではないのである(そもそもなぜ貧困が起こるのかという疑問があるはずだが)。新自由主義の考える事によると、PPPの実施地域にいったん投資が決められれば、多国籍企業の投資が生むであろう雇用創出を通じて貧困に取り組むことができるとされているのである。

8. PPP実施地域がそれほど資源や機会に恵まれていたとすれば、なぜこれまで多国籍企業の投資がなかったのか?

多国籍企業は全力で利潤をあげるために世界中で投資機会を探っているが、投資を得るために各地で競争が激しくなっていることから、多国籍企業が「手を差し伸べる」かということを選べる自由を有している状態にある。つまり多国籍企業はやりたい放題であって、これはインフラ事業のいろはが彼らに抑えられているのである。それに加えて、政府も多国籍企業がやりたい放題できるようにしているのである。

例えば、多国籍企業が「信頼のおけるエネルギー源がないところで工場など建てられるだろうか?」と問いかけてみたり、道路の状態が悪ければ、「どうやって向上に原料を投入して、製品を運び出せるのか?」と叫んでみたり、輸出の為に単一作物栽培の為の広い土地が必要となれば、「すでにその地域の農民は始末できたのか、それか政府の協力で農民を納得させているのか?」と迫ってきたりするのである。彼らは生物多様性が豊富な地域で御眼鏡にかなった植物や微生物の探査を実施したいとするときにも同じようなアプローチをするのである。「多国籍企業が大幅に遅れたり決まりが悪くなったりせずに生物多様性にアクセスができるよう、先住民族を始末したりあるいは説き伏せたりしたのか?」

多国籍企業は以上に上げたような、側面はたとえ総投資額の20%に過ぎない額を投資するときでさえ解決されている事を欲しているのである。これに加えて、多国籍企業に対しては政府からの伝統的な贈り物として、工場建設のために必要な土地の無償提供、電気・ガス・水の無償提供に加えて、数十年単位の免税措置、政府資金による労働力訓練、その他「多国籍企業へのインセンティブ」といった様々な優遇措置が提供されるのである。

9. 多国籍企業の投資意欲をひきつけるためにPPPでは何がなされるのか?

PPPの重要な柱の一つに道路建設がある。PPPにおける道路建設では、二つの大きな幹線が敷かれることになっているが、一つはメキシコ湾岸をテキサスとの国境からユカタン半島を通り、これが「食糧補給道」としてベリーズ、グァテマラ、ホンジュラスへと延びていく。もう一方は太平洋岸をメキシコシティからグァテマラ、そして他の中米諸国を通ってパナマシティまで整備する計画になっている。

PPPにおける別の柱としてはダム建設が挙げられる。約25のダムがPPPの実施地域で計画されており、これはPPP実施地域における工業化に必要なエネルギー供給を可能にするほか、アメリカ合州国のエネルギー市場における需要に対応するものともなる。この側面は先住民族にとっては非常に危険な要素を含んだものである。何千ヘクタールという先住民族が使用している土地が多国籍企業の侵入に遭い、考古学的価値のある遺物や太古からの森、先住民族コミュニティ、さらには都市を含めて破壊される危機に直面しているのである。少なくとも2つ、多ければ5つのダムがメキシコとグァテマラの国境になっているウスマシンダ川に建設されるとも言われているのである。

同時に、PPP実施地域の地図を見れば一目瞭然であるがこれらの地域がアメリカ大陸の中で一番幅の狭い地域であることが見て取れるだろう。そこでメキシコ湾岸と太平洋岸を結ぶインフラ設備が数多く建設されているのである。メキシコで一番幅の狭い地域であるテワンテペック地峡には「道路の運河」が東西間の商業においてコンテナ詰された物資が迅速に移動できるようにする目的で着工されているのである。

10. PPPを構成する基本的な事業枠組みどのようなものか?

基本的な事業枠組みには8つの柱がある。公的な文章にはおおよそ以下のような順番でこれらの8つの柱が示されている。:

a. 持続可能な発展(開発)
b. 人間開発
c. 自然破壊防止および緩和
d. 観光業の促進
e. 貿易促進
f. 道路開発・幹線道路連結
g. エネルギー開発・エネルギー網連結
h. 電話通信網開発

しかしながら、フォックス政権にとって、実際は後ろの4つの柱が一番重要であり、つまり、PPP実施地域における多国間協力の一部として投資の「インセンティブを高める」べくインフラを整備する事が必要とされているのである。財源はその多くが道路の改善やそれに続く電源網の連結・貿易促進に充てられるのである。こうした事業の柱のそれぞれは幾つかの「メガプロジェクト(大事業)」を抱えており、これを全てあわせると28にもなるのである。

11. PPPにかかる費用は? そしてそれはどこから出るのか?

PPPの総事業費は1000億ドルとも言われているが、2500億ドルかかるとの情報もある。これらにかかる資金の融資は米州開発銀行、世界銀行、欧州連合、アンデス開発公社(CAF)、中米経済統合銀行(BCIE)、その他アメリカ合州国、日本、スペイン、そのほかの国々の政府が有する開発公社からなされることになっている。PPP地域の多くの国はこうした融資をインフラ建設やインフラ施設の改善に充てることにしている。例えばメキシコ政府は2002年のPPP事業費として55億ドルを見込んでいる(当初は74.2億ドルを見込んでいたが緊縮財政により見直しを図った)。この予算のうちの大部分(およそ84%)が道路建設に使われるのである。

複数の民間企業も幾つかのインフラ事業に融資をする事になっているが、こうした融資によってプロジェクト実施を後押しし、こうして市場を操作しているのである。エネルギー源連結事業に一例を見ることができる。この事業ではメキシコと中米諸国の電源網を結ぶ事が計画されているのであるが、これには40.5億ドルかかると見られている。スペインの民間企業ENDESAがこの事業に4.58億ドルを投入しており、こうして(民間の)電源網連結事業がPPPと共有される仕組みになっているのである。

12. PPPは開発(発展)にどのようなインパクトがあるのか?

これは開発(発展)に対する考え方によって異なる。PPPは当該地域に海外からの投資をひきつける事を目的とした公共事業である。それゆえ、PPPは企業利益に合致するようにプランニングされている。(10番目の質問に対する回答で挙げてあるリストを参照していただきたいが、)おそらく幾つかの事業計画の柱はこの地域の貧困に取り組むためのものではあろうが、こうした事業に対してはほとんど予算配分が成されず、実施も進んでいない。

ネオリベラリスト(新自由主義)の立場を取るエコノミストらはPPPが「社会開発」を含んでいると指摘し、民間の投資によって雇用確保ができ、こうした雇用によって貧困が解消できると叫ぶのである。

しかし、これはあきれるほど単純な論理だ。公共投資であれ民間投資であれ、あらかじめ政治や経済、社会、そして文化に存在する構造的な差別を如何に取り除くかという事を考えなければ、どんな投資も自動的に大多数の人々により良い生活水準をもたらすものではない。実際に投資は多くの場合、この20年に新自由主義的な政治が勃興したことにより、貧困をさらに深刻なものにしている。新自由主義的な政治では現存する差別を撤廃する事はできずに、投資を通じて富裕者や権力者がさらに利益を得る仕組みになっているからである。

事実、PPPには構造的な貧困の根を矯正していこうとする政策は皆無なのである。プロジェクト計画は大企業との協力をもとに、PPPの対象地域に居住しそのほとんどが極度の貧困状況にある6500万人のためではなく(75%が1日2USドル以下で暮らしている)、大企業のために練られているのである。

多くの社会組織は様々な理由からPPPに反対しているが、その中でも人々が実施が予定されているプロジェクトで直接被害を受けることから、最も注目している事は、企業利益増大のために、ほとんど、というよりも全く気にとめることなく、天然資源の搾取に走っている事である。PPP実施地域においてはおよそ100にも上る様々な民族が暮らしており、その多くがPPPなど聞いた事もないような人びとである。そして政府や銀行から事業に関して相談を受けるときは、こうした開発主体は適当に何かの建造物を約束したり、特定の集団に利益を誘導したりするのである。

13 PPPにおける環境の問題はどのようになっているのか?

社会組織がPPPに反対する別の理由は環境破壊の問題である。PPPのプロジェクトで重要な柱の一つに「メソアメリカ生物回廊」があるが、これは世界銀行によって何年もの間構想が練られたプロジェクトであり、PPPの対象地域内で、生物学的に豊かで多様性がある様々な地区をつなぐ事を目的にしたものである。このプロジェクトが植物や動物のために地域全体を保護するものだと理解したとしても、この生物回廊は製薬会社や種子開発会社、その他生物多様性にアクセスして新素材の特許を得ようとする様々な企業による自然の搾取に対しては開かれたものになっているのである。

生物遺伝子工業および種子開発においては世界のトップの一つであるPulsar社はチアパス州のラカンドンの森(Selva Lacandona)で開発研究をするべく、コンサベーション・インターナショナル(CI)と契約を結んだ。CIは環境NGOとして先頭を切るような団体であったが、団体の理事がナビゲーション・テクノロジー・コーポレーション(Navigation Technologies Corporation)、イーグル・リバー(Eagle River, Inc.:電話通信会社)、ハイアット・デヴェロップメント・コーポレーション、ファースト・フィリピン・ホールディング(First Philippine Holdin:ガスおよび電気販売の巨大企業)、USAネットワークなどといった、大企業の理事で占められていたのである。

大企業とのコネクションや利害関係が認められれば、PPPが発展・開発のための計画というよりもエネルギーや資源の採掘計画に過ぎないという事実に目をつぶることは難しくなるだろう。

14. しかし、これほど多くの投資や経済活動があれば、この地域の貧困層に何か良い影響はないのだろうか?

そうした(よい)影響を期待するのは難しいだろう。PPPが大企業のための開発計画であることを考えれば、計画のすべての側面が企業の意向に沿って設計されており、大多数の貧窮者の利益にかなうように工夫されていないことが容易に理解できよう。多くの市民に利益があるように計画された1000億ドルの事業であれば、例えば有料高速道路や水力発電ダムなどではなく、地方で学校や診療所を建設したり、市場に農産物を出荷するための地方道整備したりするなどというように、違ったものになる事は明らかであろう。

しかし、考えられる効果というものを挙げてみると、一番大きく宣伝されているPPPの社会的な利益としては、雇用が生まれるだろうと見込まれている事である。実際には1966年からメキシコ北部の国境地帯で稼動し始めたマキラドーラでの雇用が期待されるに過ぎない。マキラドーラの多くは他の国から輸入したパーツを組み立てるための工場で、最終工程に際して安い労働力を使うと言った類のものに過ぎないのである。

性質上、マキラドーラは進出先の政府や国それ自体からいかなる規制も受けておらず、労働者の環境や健康を確保し、労働組合を自由に結成する権利を保障することなどは実質的に求められていない。現地での原料調達や現地への技術移転などといった稼動条件も適用されていない。実際のマキラドーラは本社のある国のニーズにあう製品だけを区別している状態で、ひたすらマキラドーラを設立する多国籍企業の利潤を求めているだけなのである。

しかしながら、マキラドーラがメキシコ北部の国境地帯に限れば何百もの雇用を生み出した事は否定できない。だが、労働者に支払われる給料が非常に低い事は別にしても、マキラドーラがもたらす経済効果はほとんどゼロに近い。経済のダイナミズムをもたらすとしても(と言っても近年はダイナミズム自体も陰りを見せているが)マキラドーラがもたらす経済と他の経済が完全に分化してしまっていることを見れば、マキラドーラで地域全体の経済に効果があると考える事は無理がある。

さらには、メキシコと中米各国においてPPPを通じて形成しようとしているモデルがこんなものなのである。PPPがもたらすであろうインフラの改善、というよりメキシコと中米では賃金が非常に安くて済むということで、理論上は(例えば水力発電ダムのような)PPPのプロジェクトでおそらく土地を追われるであろう農民たちを支配する、多国籍企業によるマキラドーラ建設が助長されるのである。

15.こうした企業の計画に替わる代替案はあるのか?

ざまざまな代替案があり、それもかなりの量にのぼる。例えば、全アメリカ大陸の市民組織の連合体である、ラ・アリアンサ・ソシアル・コンチネンタル(ASC:全アメリカ大陸社会同盟:la Alianza Social Continental / the Continental Social Aliance)は自由貿易協定や、市民社会に対してFTAAを通じてさらに利益を拡大しようとする人々、権力を握ろうとする人々が押し付けたいとする貿易ルールに変わる、代替案を作っている。

この提案は全アメリカ大陸規模にわたる何百もの市民団体のコンセンサスを得ている。ASCの提案内容はASCのホームページで見る事ができるほか、メキシコ・シティのRMALCを通じても手に入れる事ができる。

さらに、グローバル・エクスチェンジ(Global Exchange)が伝えることによると、

「グローバル化を進めている政策戦略家や学識経験者らは、市民が企業のグローバル化に関して自然現象だと思うようにしようとしているのである。だが、企業のグローバル化が自然現象だという定理は間違いの何物でもない。実際に『グローバリゼーション』として知られている現在の経済プロセスは一握りの企業によって仕組まれ、促進されてきたものなのである。しかしながら、世界中にはオルタナティヴな仕組みを作ろうとする市民たちが存在するのである。

そこで模索されているのがベースのグローバリゼーション、または庶民のグローバリゼーションと呼ばれるもので、投資や貿易について議論する前段階として、まず、経済的・社会的・政治的公正をグローバル化するといったものである。アメリカ大陸では社会的に責任を果たし、環境にとっても持続可能である貿易システムの構築を謳った、『米州オルタナティヴ協定』を策定した様々な市民団体が存在している。

16. PPPに抗議する為に様々な団体や市民は何をしているのか?

これまで、メキシコ・中米・その他各国の市民団体が集い、PPPに関する地域フォーラムを3回に渡って開いてきている。2001年5月にメキシコのチアパス州、2001年の11月にグァテマラ、2002年の7月にニカラグアで開催されている。第4回のフォーラムは2003年にホンジュラスで計画されている。こうしたフォーラムへの参加者は第一回のチアパスで300人が参加したのに比べて、ニカラグアでは400の団体から1200人が集うなど飛躍的な増加を見せている。

PPPに関するフォーラムへの参加者はPPPに対して完全な「ノー」を突きつけている。PPPの対象8各国それぞれに、PPPの内容を知らせる教育とPPPに対する抗議活動をコーディネートする団体も存在している。さらにニカラグアのフォーラムでは全ての地域で2002年10月12日に一斉抗議活動を行う事で合意している。10月12日の抗議は国ごとに様々な形で行われる見込みであるが、地域全体では国境の封鎖が行われるほか、PPPに関するインフラ建設予定地での抗議行進、各国での米州開発銀行や世界銀行オフィスへの抗議声明送付などが行われる事になっている。

17. あなたは何が出来るのか?

PPPに是非関心を持って、あなたの所属する団体や居住地域、コミュニティを教えてください。PPPに関するワークショップなどに出席してPPPについて知ってください。PPPについて学習会を開いたりワークショップを開いたりする際に準備をお手伝いできる団体があります。(例えばメキシコ・シティにあるRMALCでは喜んで学習会のお手伝いをします。)PPPとFTAAが結びついている事をあなたのいる団体や組織に伝える事は非常に重要です。

周りの人に企業によるグローバリゼーションに代わるオルタナティヴがあることを教えてあげてください。。そしてラ・アリアンサ・ソシアル・コンティネンタルがオルタナティヴをしっかりと提示している事を教えてあげてください。みんながオルタナティヴを作るために集まっている事、そして世界中で企業によるグローバリゼーションと闘って勝利を得ている事を伝えてください。そして、このメソアメリカ地域ではPPPの対象地域にすむ活動家たちや様々な団体、一般の市民たちが、PPPに「ノー」を叫ぶために1年半の間に開かれた3回のフォーラムに集っていることを伝えてください。

社会組織や市民団体、そして一般の市民との連帯が必要だという事を伝えてください。あなたの所属する団体や組織がPPPに対して10月12日にどのような形で抗議ができるか、またはどのような形で他の団体とつながる事ができるか考えてみてください。

ミゲル・ピッカード

訳・中村隼人

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