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1993年は国連による世界の先住民族の国際年であることに鑑み、
ニュージーランド/アウテアロアのベイ・オブ・プレンティ地区にあるマタアトゥアの9つの民族は、第一回先住民族の文化的および知的所有権に関する国際会議を招集した(1993年6月12日-18日、ホァカタネ)。
この会議には、日本のアイヌ、オーストラリア、クック諸島、フィジー、インド、パナマ、ペルー、フィリピン、スリナム、アオテアロアを含む14カ国から150人以上の代表者が参加した。
会議では、先住民族の知識と価値、生物多様性とバイオテクノロジー、慣習的環境管理、芸術、音楽、言語や物質的または精神的形態の文化などを含む重要な項目が6日にわたって議論された。
前文
1993年は「世界の先住民族のための国連国際年」であることに鑑み、
国連加盟国は「先住民族の知的・文化的財産および慣習的な管理システム・慣行を維持する権利を保護するような適切な政策および/または法的措置を採択または強化する」(国連環境開発会議アジェンダ21第26章、4b)ことを公約したことを再確認し、
先住民族と環境に関する国連専門家会議(チリ、サンティアゴ、1992年5月18日-22日)で採択された実務原則(E/CN.4/Sub.
2/1992131)に留意し、
領土、環境、開発に関する先住民族世界会議(ブラジル、カリ・オカ、1992年5月25日-30日)の文化と科学に関する勧告を支持し、
世界の先住民族が自己決定権をもち、その権利行使において自身の文化的・知的所有権の排他的所有者として認められるべきであることを宣言する。
先住民族はその文化的・知的財産の搾取に関して共通の経験をもつことを認める。
世界の先住民族の知識は病める人類に対して利益となることを認める。
先住民族はその伝統的知識を管理する能力をもつが、この知識を定義し管理する基本的権利が国際社会によって保障されるという条件で、この知識を全人類に提供する用意がある。
先住民族の知識(文化的・知的所有権)によりもたらされる恩恵は、第一にその知識を直接に受け継いだ先住民族の子孫が受けるべきである。
先住民族や先住民族の知識、および先住民族の文化的・知的所有権に対するあらゆる形態の差別に終止符を打たなくてはならない。
1 先住民族への勧告
方針を策定し慣行を発展させるにあたって、先住民族は次の勧告に従わなくてはならない
1.1 先住民族自身で自らの文化的・知的財産を定義する。
1.2 既存の保護機構は先住民族の文化的・知的所有権を保護するには不十分であることを認識する。
1.3 先住民族の伝統的・慣習的知識を記録(ビデオ、録音、記述)する時、外部の使用者が守るべき倫理基準を設ける。
1.4 先住民族の慣習に従った環境・文化的慣行の知識を促進するため、先住民族の教育、研究、訓練センターの設立に優先的にとりくむ。
1.5 慣習に従った農業生産を促進するため、先住民族の伝統的な土地を取り戻す。
1.6 先住民族の伝統的な知的・文化的財産の保護、保存、再活性化のための伝統的慣行・制裁措置を発展させ、維持する。
1.7古美術品の保護に関する既存の法の評価を行う。
1.8以下に示す活動に適した仕組みをもつ機構を確立する。
a)公的領域における先住民族の文化的財産を保護し、商業化を監視する。
b)先住民族に対し、その文化遺産を保護するよう助言し、奨励する。
c)先住民族の文化的・知的所有権に影響する立法行為に対して、諮問プロセスを義務化する。
1.9 国際的な先住民族の情報センターとネットワークを構築する。
1.10 アマゾン流域先住民族団体調整委員会(COICA)がホストする第2回先住民族の文化的・知的所有権に関する国際会議を召集する(Hui)。
2 国家、国内または国際機関への勧告
方針を策定し慣行を発展させるにあたって、国家、国内または国際機関は次の勧告に従わなくてはならない。
2.1 先住民族はその慣習的知識の守り手であり、彼らはその知識を保護し、また普及する権利をもつことを認める。
2.2 先住民族はまた伝統的な文化に基づいて新たな知識を作り出す権利をもつことを認める。
2.3 既存の保護機構は先住民族の文化的・知的所有権を保護するには不十分であることを認識する。
2.4 先住民族の文化的・知的所有権は、それらを生み出した人々に帰属することをみとめる。
次の項目を含む新たな文化的・知的所有権体制を先住民族との十全な協力体制のもとに築く。
・集団的(および個人の)所有権と起源。
・現代作品と同様歴史的な作品に対する遡及的適用。
・文化的に有意義な物品の品質低下に対する保護。
・競合ではなく協力を基本とする枠組み。
・知識の伝統的な守り手の直接の子孫が利益をうけること。
・多世代にわたる適用期間。
生物多様性、慣習的環境管理
2.6 土着の動植物は先住民族共同体の領土に密接に根付いており、いかなる所有権の主張も先住民族によるそうした動植物の伝統的保護を認めなければならない。
2.7 先住民族のいかなる伝統的な植物や医薬品の商業化も、それらについての知識を受け継いできた先住民族によって管理されなければならない。
2.8 先住民族共同体が適当な保護メカニズムを確立されるまで、先住民族の薬用植物や人間の遺伝物質のさらなる商業化は一時停止されなければならない。
2.9 企業や政府系および民間機関は、適切な先住民族の許可なく、いかなる生物遺伝資源の実験や商業化も行ってはならない。
2.10 先住民族の慣習的な農業・漁業生産を促進するために、土地・天然資源に対する未解決の権利請求事案の解決に優先的にとりくむ。
2.11 現在の環境に関する科学的研究が、先住民族共同体と慣習的な環境に関する知識が関わることによってさらに強化されるよう保証する。
文化作品
2.12 博物館やその他の機関が保管するすべての先住民族の人骨や埋葬品は、それらが帰属する地域にその文化にかなった作法で返還されなければならない。
2.13 博物館やその他の機関は自らが保管する先住民族の文化作品の目録を、国と当該先住民族に対して提出しなくてはならない。
2.14 博物館やその他の機関が保管する先住民族の文化作品は元の所有者に返すよう申し出なくてはならない。
3 国連に対する勧告
先住民族の権利を尊重し、国連は次の勧告に従うべきである。
3.1 先住民族の視点が公平に表現できるよう先住民族による国連のフォーラムへの参加過程を保証する。
3.2 マタアトゥア宣言全文を国連の先住民族の文化的・知的所有権に関する研究に包括する。
3.3 継続的に維持される政策や行動が先住民族の文化的・知的所有権を侵害しているあらゆる国家を監視し、それに対し必要な行動をとる。
3.4 先住民族の文化が1995年の国連文化の国際年に盛り込まれる方法に対して先住民族が積極的に寄与できるよう保証する。
3.5 現在進行中の「ヒトゲノム計画」は、その道徳的、倫理的、社会経済的、身体的、政治的意味合いが先住民族によって十分に議論され、理解され、認められるまではただちに休止するよう求めなければならない。
4 総括
4.1 国連、国際機関および国家は、これらの勧告を履行するためにさらなる財政的支援を提供しなければならない。
【山谷里美・藤岡美恵子=訳】
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