カロリーナ・サンチェス日本スピーキングツアー

3月21日(北海道ウタリ協会札幌支部)

島崎 直美(北海道ウタリ協会札幌支部/アイヌの女の会)

写真・アイヌの民族衣装を着るカロリーナさん

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今回グァテマラのカロリーナさんが交流というかたちでウタリ協会札幌支部を訪問しましたが、このようなかたちでの交流はウタリ協会にとって初めての経験でした。そこにアイヌ女性や男性、若いアイヌからお年寄りまで40名近く集まること自体もウタリ協会にとって珍しいことでした。

私はグァテマラの内戦の歴史や先住民族の受けた歴史というものを運動の中で以前より承知していましたが、大部分のウタリ協会のメンバーにとってこうした歴史も初めてでしたので、カロリーナさんのお話を聞いたこと自体が勉強になったと思います。

ただし、同じ先住民族と言っても、36年の内戦を終えたばかりのグァテマラの先住民族ということで、会を計画する私たちにとっては戸惑った部分もありました。ただ、アイヌにとっても、たとえ内戦はなくても130年ものあまり、自分たちの固有の文化を封じられた歴史というものは共通するものがあると思います。

私たちはこれまで差別を受けた状況を振り返るということに重点をおいてきましたが、アイヌもグァテマラもそうした歴史を踏まえて、前向きにともに進んでいけるようなメッセージを伝えたい、今のアイヌの生活を紹介しようと、まず、カロリーナさんをアイヌ工芸の工房に案内しました。

その後、皆で少しでも普段の洋服の中に刺繍などといったアイヌの部分を取り入れたものを着て、アイヌ料理をアレンジした軽食付きの、歌や踊り、オブジェなどといった、アイヌの表現がいっぱいの「エンパワメントな」交流会を開きました。

カロリーナさんは交流会でグァテマラの女性の状況、言語の状況、衣装による差別を紹介してくれました。

アイヌもこれまで大変な時代を乗り越えてきましたが、ショックとして受け止めています。ただ、私たちよりひどい状況を受けていながら、グァテマラの女性が頑張っている様子をうかがって、一方では先住民族として似た状況がありながら先輩の受けたような戦争を知らない私たち世代にとって何を言ってよいのかという予想通りの感情もありました。

しかし、ともに「エンパワメントな」交流会をすごすことで、今まで差別的なことをメインとしていたアイヌと違う最近のアイヌ、希望をもった生き方をしているアイヌと出会って頂いて、国に帰っても違う角度からアイヌを、そして先住民族を考えてもらえばと思います。アート・文化などの全てを彼女の勇気として、ともに前向きになっていこうというメッセージとして伝わってくれれば幸いです。

私は一個人として、これまでアイヌ女性に対する複合差別ということも含めて何を言ってよいかが分からない状況でした。ですから、アイヌ女性にとっての活動というものは今始まったばかりなのです。先住民族はどこの世界も民族内における男女の規律があって、女性はそこから抜け出せないのではないか、活動はできないのでないかという難しさがあると思います。

これはカロリーナさんがグァテマラの例で言っていたこととも同様です。ただ、子どもたちをどのように教育して、どのように文化を伝えていくかということを考えていくと、母親としての役割がある女性が自ら行動する必要があるということを改めて痛感させられました。カロリーナさんに頑張ってとエールを送るとともに、私たちアイヌ女性もともにこれから頑張っていきたいと思っています。そうして胸をはって生きていける社会を作り上げていきたいと思っています。

カロリーナさんのお話の中で、私たちに特に響いたメッセージ。それは先住民族女性が作った工芸品が適正価格で売られていないということです。ブランド品だけが価値があるという社会のあり方にアイヌの工芸品を作っている私たちもおかしいと思いました。様々なすばらしい文化や価値観を伝えていく場所というものが今求められています。

一方で、「女の価値観」ということで女性だから家に留まっていなければならないというような観念がありますが、先住民族女性がいろいろな価値観を世界中に広めていくためには女性が一歩前に出て家に留まっている存在だけではない!ということも世界中に広めていく必要性も改めて感じました。

カロリーナさんの話の中で、自分が活動をはじめる際でも、女性であるがゆえに邪魔扱いされるというということがあり、私たちにとってショックでもありましたが、こうした状況はアイヌ、そしてアイヌがたまたま所属している日本国にもあります。ですから、これを契機に世界中の先住民族女性と出会っていきたいと考えています。

そして、こうした試みは他の仲間、アイヌ男性や家族につながって広がっていくものと信じています。

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