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Vol. 16, No.
14、2004年7月15日
("Guatemala
Human Rights Update", Vol. 16, No. 14, July 15, 2004)
先住民族の権利
*国連による人種差別対策法の要求
2004年7月2日――国連人種差別に関する特別報告者であるドゥドゥ・ディエヌは、グァテマラの人種差別問題に対するより効果的な法律の立法を要求した。また、先住民族問題を担当している国会の常設委員会と会見したのち、彼は国会はもっとグァテマラの平和構築に力をいれ、人種差別廃止法を制定するべきだと語った。先住民族問題を担当している国会委員会の代表者であるフリオ・ツルはこの会合を積極的に評価したが、ディエヌは選挙で選ばれる地位に先住民族が少ないことを強調した。実際、158人の国会議員のうち、先住民族は12人だけである。彼は先住民族の割合をもっと増やすように選出方法を改定するべきであると指摘した。
また特別報告者は国会に対し、国連人種差別撤廃委員会の法的権能を認めるよう求めた。
その他、セクシャルハラスメントや教育、労働、識字問題の改正などを含む法案についても同会合で議論された。
*先住民族女性に対する差別
2004年7月12日――「私は人間として、女性として、そして先住民族の一人として尊厳を傷つけられました」とマヤ―カクチケルの女性であるマリア・トゥユク・ベラスケスは語った。彼女は身に着けていた伝統的な民族衣装を理由にグァテマラ市の10区にあるカフェに立ち入ることを拒まれたのだ。
連れ合いをなくした女たちの会(CONAVIGUA)のリーダーであるトゥユクはこの件を弾劾した。先住民族も法の下に平等であり、娯楽に参加する自由があるにも関わらず起きた今回のような出来事は先住民族の名誉と文化に対する攻撃であるとトゥユクは語る。
7月9日、トゥユクらはラ・プラサ・オベリスコにあるカフェに入ろうとしたとき、ガードマンが「この場所は使用人が立ち入る場所ではない。特にこのような格好をしているような人間は来るべきではない」と言って彼女らの入店を拒否した。
土地権
*土地問題に対して進展なし
2004年8月7日――強制土地立ち退きと地域の開発問題に対して6月8日に農民による全国規模のストライキが行われた。しかしそのストライキから30日以上たった現在でもなんの進展もみられない。
土地紛争解決機関(CONTIERRA)においてたしかにわずかな変化は見られたが、いずれも軽微であり多くが行政上の措置であった。
CNOC(全国農民組織調整委員会)のディレクターであるダニエル・パスクアルは、政府がストライキを終結させた交渉時の公約を果たすためにあと2ヶ月しか残されていないことを指摘した。土地の強制立ち退きは延期されたが、土地改革問題は依然残っており前回立ち退いた家族はいまだに土地を持っていない。
6月8日、何千人もの農場労働者、労働組合員、大学関係者が36の道路を封鎖し、さまざまな民間のビルを占拠し、政府に交渉に応じるように求めた。彼らはベルシェ大統領と最高裁のホセ・ケサーダとの交渉において合意に達し、ストライキを終了した。
*GAM 人権保護の状況報告
2004年7月6日――GAM(相互援助グループ)は2004年の最初の6ヶ月のうちにグァテマラで1554件の暴力行為を記録した。この数字には過剰な刑罰、暴動死、虐殺、リンチ、人権に対する暴力、性差別犯罪などが含まれる。7月5日、GAMは以下に示す統計を発表した。
956人の暴力による死者、そのうち6人がギャングが絡む虐殺、19人がリンチ、8人が計画されたリンチ、260人が女性の犠牲者だった。GAMはレポートの中で、女性が犠牲者であった100の殺人事件は同じパターンを示していることを強調した。つまり、犠牲者たちは誘拐され、レイプされ、拷問され、そののちに殺されている。2004年の最初の6ヶ月で公共省は14件の脅迫と11件の押し入り事件の通報を受けた。対象の多くは人権問題の事務所だった。この半年間で305人のグァテマラ人が重火器によって負傷し、32人がナイフによって負傷した。拷問5件も通報された。若年世代については、GAMは30件の誘拐、18件の性暴力、57件の子どもによる窃盗を報告している。
*賠償金プログラムが基金を得る
2004年7月7日――7月6日、グァテマラ政府は350万米ドルを国家賠償プログラムの資金にあてた。最初の賠償金は何十年と続いた内戦によって失われた命と財産に対してである。この賠償は「紛争の間、もっとも基本的な人権が認められなかった何千ものグァテマラの人々の苦しみを明白に認識するものである」とベルシェ大統領は語った。
グァテマラの財務大臣はロサリーナ・トゥユクに小切手を手渡した。トゥユクはCONAVIGUAのディレクターであったが、最近賠償問題委員会の代表者に任命された。13年計画の一環として賠償金額は計3750万米ドルに届く見込みである。「国家は犠牲者に対し、個人的にそしてコミュニティに対しても賠償する責任がある」とトゥユクは語った。彼女の夫は戦争中に軍によって連れ去られている。
このプログラムの対象は間接的または直接的に苦しんだ人、個人または集団で被害にあった人々、誘拐や過剰な刑罰、物理的また心理的な拷問、強制立ち退き、マイノリティに対する強制軍役、性暴力、若年層に対する暴力、虐殺の被害者である。被害者とその家族は物理的、経済的な賠償をうけ、またリハビリテーションも受けられる。
【山谷里美=訳】
緊急行動要請 2004/6/4
暴力的立ち退き政策への抗議が弾圧の引き金になるだろう
6月8日、9日に、人権活動グループ、労働組合、その他多数の人々が合流する農民組織の広範な連合が、一月にオスカル・ベルシェが大統領に就任してからというもの、数百の家族が苦しんでいる暴力的立ち退き政策に抗議するため、全国的ストライキを召集するつもりである。
中米自由貿易協定と大統領の提案した税制改革に抗議するグループがこの抗議活動に参加を予定している。この抗議活動は大衆的デモンストレーションとグアテマラシティ空港を含む公共施設の占拠をめざす。ベルシェはこれに対して、デモ参加者に対して実力行使を考慮中であることをすでに表明している。彼は「まだ決定したわけではないが、もし彼らが法を破るならその可能性はある」と表明した。
アルフォンソ・ポルティージョ前大統領の政権の最後の二年間は立ち退きが行われてはいなかったのだが、ベルシェ就任以来少なくとも23件行われた。その大部分は過度な強制措置によるものである。国家市民警察は収穫物に火を放ち、家々を焼き、恣意的に指導者達を拘束し、発砲した。その結果少なくとも1500人の農民が家を喪失することになったのである。
たとえば全国先住民族農民調整委員会によれば、3月17日にアルタ・ベラパス県のコバンでは30家族が立ち退きを強制された。すべての農民の家々および小屋は焼き払われ、農民指導者のホルヘ・チュブは3回発砲を受けた。5月5日にはアルタ・ベラパスで103家族が3000人の警察官により立ち退かされ、15の家屋が焼き払われた。5月は10件の立ち退きにおいて一人が警官に頭を撃たれ、2人が殴られ、さらに数人が恣意的に拘束された。
15人の妊婦が催涙ガスの被害を受け、大量の収穫物が破壊されたのである。コミュ二ティラジオ局、学校の備品、2つの福音派教会もまた破壊された。働の権利をもとめて圧力を行使している。3月には農民の大衆的抗議行動のあと、ベルシェは彼の政権が地方の対立的な労働関係及び土地をめぐる状況を解決できる方途を探すあいだは土地の立ち退きを延期すると約束したにもかかわらず、農民があの80年代の焦土作戦に喩えられるような暴力によって立ち退きを強いられ続けているのである。
行動要請:手紙、電話、ファックスであなたの懸念を表明し以下の要請を送ってください。
オスカル・ベルシェ大統領宛
1.6月8日及び9日のストライキに参加、またはそれを支持する農民及び他のすべての人々の安全を保証することを要求する。
2.大統領が地方における紛争の解決策を求める間、立ち退きを凍結するという3月3日の約束を遵守することを要求する。
COPREDEH(大統領直属人権委員会)
フランク・ラルー委員長宛
1 COPREDEHへ、土地の立ち退きを調査し立証するために、米州機構および国連の人員から構成される委員会を創設することを緊急に要請する。
2 COPREDEH自体が土地占拠をしている農民に対する人権侵害を充分に調査することを要求する。
フアン・ルイス・フロリド法務長官宛
1 グアテマラの司法官に土地占拠の原因を至急調査させよ。70%の土地占拠の原因が労使紛争そして他の多くが土地所有権をめぐる紛争に由来するものである。
2 グアテマラ検察庁が農民の人権侵害事件を調査しこれらの責任あるもの達を訴追することを要求する。
訳者注:COPREDEH--Comision
Presidencial Coodinadora de la Politica del Ejectivo en Materia
de Derechos Humanos の略
(出典:Guatemala
Human Rights Commission-USA, "REQUEST FOR IMMEDIATE ACTION
Protests of Violent Evictions May Spark Repression," June
4, 2004)
【訳=妹尾正史】
2003年グァテマラ大統領選挙について
グァテマラ大統領選挙関連新聞記事まとめ
2003/12/29
即日開票の結果、中道右派の国民大連合(Gana)が推す元グァテマラ市長オスカル・
ベルシェ氏(57)が、中道左派の国民希望党(UNE)の元大学教授アルバロ・コロン氏(52)を破り当選した。ベルシェ氏は都市部での得票が多く、64.4%を占め、対するコロン氏は36.6%であった。また、バハ・ベラパス、アルタ・ベラパス、サカパ、チキムラ、ハラパ、フティアパ、エル・プログレソ、ソロラ、ケツァルテナンゴで優位に立ち、特にエル・プログレソ、ソロラ、ケツァルテナンゴで優勢であった。
コロン氏は22県のうち12県で優位にたち、そのうちの2県は第一回選挙でFRG(グァテマラ共和戦線)が優位にたったキチェとウェウェテンナンゴであった。コロン氏が県レベルで優勢だったのに勝利を収められなかったのは、コロン氏が勝利を収めた地域での(ベルシェ氏との)得票差が僅差であったからである。
最高選挙管理委員会(TSE)のオスカル・ボラニョスは「選挙関係機関は今回の投票には大変満足している」と語った。前回あったような問題を解決するような努力が払われたのである。
グァテビシオン(Guatevision)が最初にベルシェ氏を当選と報道し、そのほかのマスコミはより多くのニュースソースからベルシェ氏を当選とした。(開票から)22時間以内にはGanaがUNEに勝利したことが知られるようになった。
OEAによる速報集計も公式のそれと合致したとTSEが語った。TSEの二回目の記者会見で以下のようなデータが示された。
・現在の開票率は94.2%である。
・グァテマラ県の投票率は57%で、全国一であった。
・全国的な投票率は48.81%であり、前回より6.96%低かった。
・有効票は96.13%で、無効票は2.64%であった。
・白紙投票は1.22%であった。
大統領の任期は4年で、2004年1月14日に就任する。TSEの中間集計(開票率94%)によると、ベルシェ氏の得票率は54.1%(1,177,000,797票)、コロン氏は45.8%(996,000,748票)だった。この決戦投票は国内外の選挙監視委員によって、満足を得るかたちで終わった。投票率は48.81%であった。[プレンサ・リブレ2003/12/29]
ベルシェ氏は大農園や大企業など経済界を基盤に、富裕層を代表する一方で貧困層
との連帯計画を示し、ノーベル平和賞受賞者の先住民族リゴベルタ・メンチュを含む幅広い支持を得た。民営化による経済活性化が持論で、新国際空港の建設など大型事業
に取り組む方針だ。米国も同氏の当選を歓迎している。
同国は今月、米国との自由貿易協定で合意したばかり。近く欧州連合との交渉も始まるため、ベルシェ政権発足は、中米の自由貿易への動きを加速させそうだ。同国の内戦は96年に終わったが、なお不穏な情勢が続く。政治的暗殺や内紛による昨年の死者は、国連調査で3,600人に上る。[朝日新聞2003/12/29]
2003/12/30
ベルシェ氏が大統領に就任する1/14に議会も始まる。Ganaは最大の47議席を有しているが、それは全158席の過半数には及ばない。うまく政権を運営してゆくためにベルシェ氏は他党と連立を組むだろう。その他の主な政党はリオス・モント率いる右翼のFRG(43議席)、UNE(32議席)、PAN(17席)である。[El
Nuevo Herald、Miami]
ベルシェ氏は二人の著名な人権活動家に入閣を要請した。リゴベルタ・メンチュウと暗殺された人類学者であるミルナ・マックの妹ヘレン・マックである。彼らはポストが自分たちの活動と両立しえて、かつ市民社会に受け入れられるものであれば入閣を受諾するようである。[Guatemala
Hoy 2003/12/30 from Prensa Libre]
2003/12/31
次期大統領に選出されたオスカル・ベルシェは市民社会との初めての会合において請願をうけた。その中でも顕著だったのは履行が棚上げになっている和平合意に再度とりくむこと、新政府はそれを政策に含むこと、特に先住民族たちに対して活動の場をつくることであった。
会合はMINUGUAによって偶然にも和平調印の日から九年目に召集された。会合には請願に署名した300人のうちの数人がかけつけた。彼らの中には枢機卿のロドルフォ・ケサダ・トルノ、1992年のノーベル平和賞を受賞したリゴベルタ・メンチュ、ノーベル平和賞候補のヘレン・マックらがいた。
Minugua(国連和平検証団)の総裁であるトム・コーウィンは、請願は協定書であると説明した。それはグァテマラの民主主義と正義の基本的な礎となるであろうと述べた。請願は優先事項として国家が完全に人権を擁護すること、および先住民族のアイデンティティと権利を再認識し、多文化と多言語の国を構築することの重要性に触れている。
「現実の合意は悪しき運命を負っていた。動き出さなかったし、いまだに国家の合意でしかない。」とケサダ・トルノは指摘した。メンチュは歴史的に国家の意思決定から排除されてきた先住民族に対して参加の場を創出することが必要であると述べた。
「和平合意に再び取り組むのは新政府が引き受ける統治協定となるべきである」とミルナ・マックはベルシェに請願を渡すときに述べた。
和平プロセスを通して現実をより正しく、より不公平を少なく、最大限の機会をもって変えるとしたのはベルシェが昨日した約束であった。ベルシェは会合に参加した社会セクターのリーダーたちに力を結集するよう呼びかけた。
具体的請願は以下のとおりである。
・和平合意の精神を再度取り戻すこと
・グァテマラの諸勢力を結集させること
・ガリフナ、シンカなど先住民族のアイデンティティを再認識し、多民族多文化多言語の国家形成を促進すること
・人種に対して公正で、全ての国民のニーズに応える参加型の社会経済の発展を奨励すること。
・最大限の市民社会の参加によって民主主義体制を促すこと。
・公共省、国家法務長官、裁判所、会計検査室を浄化すること。
・司法制度の予算を増額すること
・人権において国際条約や協約を批准すること。
[Prensa Libre2003/12/31]
虐殺の責任者が大統領候補へ
リオス・モント立候補をめぐって
今年6月、与党FRG(グァテマラ共和主義者戦線)は現国会議長で1980年代初頭に大統領の座にあったエフライン・リオス・モントを同党の大統領候補と決定し、候補者としての登録を申請した。グァテマラ憲法には、クーデターなどを通じて大統領になった者はその後大統領選に立候補できないという規定があり、リオス・モントの場合はこれに該当する。憲法に照らせばリオス・モントが立候補者になる資格はまったくないどころか、彼は内戦中先住民族への弾圧・虐殺がもっとも集中したその時期に大統領の座にあり、グァテマラの凄惨な虐殺と人権侵害の最高責任者でもある。
この立候補に対して、憲法裁判所、最高裁を巻き込んでの法律上の判断が問われたわけだが、FRGの息のかかった判事を憲法裁判所の担当裁判官に任命するなどの政治的な圧力により、結局立候補は法的に認められることになった。
この間の経過は、ここ数年グァテマラを覆っている政治、司法の危機を象徴しており、さらに一層悪化させるものになっている。7月下旬にはFRGが動員したと思われるデモ隊によって暴力的示威行動が組織的に行われ、死者、負傷者が出た。今後11月の大統領選挙までの過程を注視していく必要がある。以下に、6月から8月までの事実経過と、いくつかの人権・先住民族団体の反応を紹介する。
事実経過 (Documento para reflexion
interna del Movimiento Sociaおよび各種新聞記事等より構成)
6/6 公民権登録局が大統領候補の登録を拒否。
6/13 公民権登録局が下した決定の無効を拒否するFRGの請願を最高選挙審判所(TSE)が却下。この間、チマルテナンゴ県の人権オンブズマン(PDH)事務所の副オンブズマンが殺害され、人権活動家が幾度となく暴力や家への侵入を受ける。
7/4 最高裁がFRGから出されていたリオス・モントの権利擁護の訴えを却下。
7/12 憲法裁判所判事の改選が極秘で行われ、4人のFRG支持者の判事と3人の中立の立場の判事で構成されることが決定。
7/14 憲法裁判所判事の4人がリオス・モントの大統領候補の登録を支持。この間、退役将軍が軍隊に汚職が蔓延していることを大統領に告発。新聞記者、人権団体事務所に対し、脅迫が届いたり、監視がつく。社会の諸団体が合同で対応を協議。
7/18 TSEが公民権登録局にリオス・モントの登録を命令。 この間、リオス・モントは法を遵守すると語る。FRGが人権活動家への攻撃を予告し、憲法裁判所の中立の立場の判事が脅迫を受け、監視がついていることを告発する人物も現れる。
7/24 早朝、TSE、最高裁にデモ隊が押しかける。午前中に報道関係者への脅迫、殺害が始まる。NGOメンバーの家が押し入られ前大統領の自宅が包囲される。午後になり、警察長官の辞任の噂が広まる。大統領がFRG以外のグループによる犯行であることを示唆する。秩序回復のための軍隊および警察の出動を表明する(結局、出動せず)。報道機関はグァテマラ・シティ第10区に閉じ込められる。夜になり、報道機関が脅迫の告発を行う。
7/25 FRGが権利擁護に対する請願を提出。この間、報道関係者が拉致され暴行をうける。検察官が取りべの必要はさほど無いとの結論に達する。EU、米国、カナダが事態を憂慮し、政治暴力の実態を調査するために米州機構の選挙監視官が派遣される。
7/26 クーデターの噂が広まる。PDHのメンバーが脅迫を受ける。PDHが人権活動家の殺害計画を告発する。
7/27 PDHの地方オフィスが包囲され、投石される。
7/28 憲法裁判所はFRGの請願を却下。FRGは再度、請願を提出する。
7/31 憲法裁判所がFRGの請願を認める。
8/1 公民権登録局がリオス・モントの登録を行う。FRGは官僚を大量解雇し、汚職を公然化し、公共省を支配して免責を深め、最高裁の予算を削減し、独立を保っている判事を攻撃。会計監査室、TSE、憲法裁判所といった民主的に管理されている組織を掌握。残っているのはPDHだけである。
8/2 議会はリオス・モントの支持者たちが前週引き起こした暴力的抗議行動を処罰することに失敗する。リオス・モントの政敵たちが「黒い木曜日」(抗議行動があった日)の抗議行動への嫌悪を表明しようとしたとき、リオス・モントの指示で、FRGの議員が会場から退出して、議会をボイコットする。多くの議員が退出したので定足数が満たなくなり、7月24日・25日に起きた暴力的抗議行動を処罰するための採決がとれなくなる。
8/5 TSEはリオス・モントの登録の無効を求める愛国党と国民希望連合から提出されていた二つの請願を却下。すでにリオス・モントは憲法裁判所の信任を得ており、熟慮の結果、問題なしとした、とアンヘル・アルフレド・フィゲロサ判事が語る。
8/7 憲法裁判所はリオス・モントに反対する抗議をうける。34人の法律家が登録は憲法違反であり、登録を受け付けないよう請願。彼らの中には米州人権機構のマルタ・アルトラギレ、弁護士養成学校の校長であるガブリエル・メドラノ、憲法擁護機関(Cedecon)の代表であるアルノルド・オルティス・モスコソも入っている。オルティス・モスコソは、一連の行動は永久に政界から遮断された人物(リオス・モント)によって法体系を再構築するために行われていると述べる。
8/11 国民希望連合(UNE)の大統領候補のアルバロ・コロンが聴衆の前で、FRGがリオス・モントを勝たせるために選挙を操作するという「ラザロ計画」を練っていると告発。票数を操作し、書き換えを行うというものであった。軍隊の出動も計画されていた。FRGはコメントする必要はないとしている。
8/15 最高裁は憲法裁判所の裁定を尊重しないだろうという観測が流れる。最高裁は議会に従う前にグァテマラの法に従わなければならない、と判事が表明。
8/21 憲法裁判所の裁判長であるルイス・ウォンが、リオス・モントに有利になるような操作を行った疑いをもたれている。憲法裁判所の職員が匿名で、補欠の議員を決定するためのくじ引きに使用された四つの球に細工が施されていたことを明らかにする。
8/22 リゴベルタ・メンチュウが前日メキシコにおいて、政府は麻痺し、リオス・モントのために不正を行いかねない、と表明。民主主義と選挙プロセスがリオス・モントに脅かされている。犯罪者が徒党を組んでリオス・モントを支援している。活動資金は賄賂や麻薬から得ている。米州機構に対し、不正があるかどうか厳しく監視するべきだ、と呼びかける。リオス・モントは人々を恐怖に陥れることで票を得ようとしている、と述べる。
9/3 最高裁はリオス・モントの権利擁護の訴えを審議することに決定。最高裁は憲法裁判所が認めた決定を三度却下した。近日中に愛国党(PP)とUNEから提出されている権利擁護の訴えについて審議を行うと宣言。
グァテマラ国内外の反応
・デフェンソリア・マヤ(7月17日付け声明より)
憲法裁判所がリオス・モントの立候補を合憲としたことに対して、かつてないほど明確に反対が表明されている。今日、人々は法曹界が何をしようと、マヤ共同体の財産を侵害しようと、だれも何も言わない。裁判所は人口の多数を占める、マヤ民族のために存在しているのではない。和平合意や先住民族の権利推進が決められても、それが勧められることはなく、伝統的支配グループがそれを妨げてきた。
先住民族はグァテマラ国家の法制度の改革をめざしている。なぜなら現行の枠組みはさまざまな組織の利益を反映しているとは言えないからである。これまで権力についていたグループは私腹を肥やしただけだった。先住民族は利用されるだけだった。今こそ、改革について真剣に議論するときである。もうこれ以上、特定の集団のために法制度が利用され続けるのは容認できない。今回の大統領選挙では先住民族は現行の枠組みから排除されている。
民主主義はだれかのための手段ではないし、所有物でもない。すべての人のものである。だから、先住民族の存在を認識した憲法を制定しなければならない。デフェンソリア・マヤはこの国に住む四つの民族の利益を推進し、保障する新たな法的枠組みを制定することを呼びかける。
・ミルナ・マック財団(2003年8月、EL PODER OCULTO
EJERCE PRESION SOBRE LA INSTITUCIONALIDAD DEMOCRATICAより)
リオス・モントの立候補を憲法裁判所が認めたことは、法治国家としての脆弱性と、民主機構を操作し、圧力をかけることがどこまで可能かを露呈した。選挙にも暗い影を落としている。不正選挙である。民主主義にとって最も大事な清廉な選挙に対して強烈な打撃が加えられた。さまざまな市民勢力や政治勢力がどれだけ結束できるかが大事である。と同時に、今後の情勢は、どれだけ諸勢力が互いに対話を維持できるか、不正を発見し、それと戦えるか、そして国際社会から、また操作の対象となりやすい脆弱な国内機関から何を期待できるかにかかっている。
・Washington
Office on Latin America(7月31日付け声明より)
リオス・モントの大統領立候補が合法とされたのは大変嘆かわしいことである。最も懸念すべきは、リオス・モントは大統領として人権を扱うには相応しくない人物だということである。リオス・モントは過去、独裁者であり、彼が独裁者であったときに、先住民族の大虐殺が行われた。グァテマラの人権団体は彼を軍が行った大虐殺の責任者として、民事裁判に提訴しているのである。
それに加え、リオス・モント支持者は他の候補者に対して暴力を振るい、脅迫している。国際社会は暴力、脅迫や不正がないようにこの大統領選挙のプロセスに注意を払うべきだ。またこの国の影の実力者たちの組織を調査するための国際支援委員会の発足を推進することが重要であろう。政府は委員会の設置を約束したし、最近の状況を鑑みると、設置は不可避になってきている。
【まとめ・資料作成=斎藤忍】
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