テーマ: 先住民族の文化遺産の保護─国連の動向 発題者: 苑原 記録: 田村 配布資料: レジュメ(4ページ)、新聞記事コピー、知的財産基本法、無形文化遺産条約 参照資料: 『先住民族の10年News』 第110号手島さん記事、同第26号付録苑原さん記事、         国連広報センター資料の冒頭および「知的財産権─その問題点」 日時: 2006年4月22日(土) 15時30分〜18時 場所: アイヌ文化交流センター (報告者より)多方面に発展する可能性のあるテーマであるため、多くの実例が 紹介され、新たな発議(と解釈できるもの)が提示されるなど活発であった一方、 焦点を絞るのはなかなか大変だとわかってきた会でした。 以下、雑駁ですが報告します。 T. レジュメに沿った発題  1 ・「文化遺産」もしくはコモンズが定義が難しいものであるということを、     新聞記事(朝日新聞2005年5月18日付「フラダンスに「著作権」?」)を例にとって説明    ・キンバリー宣言、カンクン宣言  2‐1 先住民族の「文化遺産」に対する概念の変遷を概観     ・既存の「文化財・知的所有権」保護制度は私有財産を守るもので      あり、先住民族の概念では生命などの遺伝資源までが対象に      含まれるため、不十分     ・人権委員会などで人権からのアプローチを行う一方、WIPOや      UNESCOといった他機関と協働     ・関連する日本の法制度体系図(板書)  2‐2 それぞれの定義内容を確認     ・従来の制度では対象にできなかったものが次第に盛り込まれていく     ・著作権と異なり、文化が含まれる  3 現状、最新である2005年の補充文書の指針案の特徴  3‐1 ・「自由で、事前のインフォームド・コンセント」の原則      (FPIC:Free, Prior and Informed Consent)      F、P、Iの3つの条件が重要 cf. 開発プロジェクトなど     ・国連広報センター資料の「知的財産権─その問題点」参照     ・補償…善意の第三者(例:知らずに盗掘文化財を購入した人)対応  3‐2 何を不当であると定義するか     ・現行法は財産法が基本になっているので、個人の作家の権利は      守れても、集団の権利への適用に限界がある  4 ・先住民族の「文化遺産」を守ることには、(1) 不当な利用の阻止と、     (2) 市場原理に基づく利益(財産権)という両義性がある      ・現行法では不十分である      ・自決権、土地・天然資源権と関係がある    (レジュメ外の示唆) アイヌ文化振興法では、第二条の定義中に文化遺産が   含まれていないが、第四条に「自発的意思及び民族としての誇りを尊重」と   書かれているので、知的財産基本法の第17条を使って、施策を求めることが   できるのではないか U. 質疑応答 ・文化作品のイミテーション(ホピのジュエリーをナバホが模倣するなど) ・2005年の補充文書で「先住民たる個人」という文言が追加された理由(明確では  ないが、民族に帰属しないで個人で活動する人も含める意図か) ・同補充文書で大きく前進したベースに何があるか(特に情報なし) ・指針が採択された場合の効果(法的拘束力はないがこれまで他の指針でも  影響は与えてきた。横田・サーミ文書はpublic domain=公有地を含めて  いるので、採択されれば、土地や水域を返還要求されると、少なくとも  勝手に処分できなくなるのでは。信託方式が採用されるか) ・同意なしに過去に出版された研究資料の差し止め(学問の自由や出版の自由との  兼ね合いになる。内容や出版に至る過程によっては、民族の総意が出せれば  再版の禁止は技術的には可能) ・遺伝子採取(研究者がナガランド大学で。土地権利闘争に利用の意図らしい) ・集団的権利が認められた場合の集団の規定は難題 V. NHK-BSのドキュメンタリー(苑原先生持参)鑑賞   インドのニームで、アメリカの製薬会社がハーブの特許を92年に取って   しまった。アメリカでは成文化された知識しか保護の対象になっていない   ため、このようなことがまかりとおってしまう。 最後まで話は尽きずに時間切れで閉会しました。 以上