国連の人権制度が、存在している人権問題に即して有効に機能するには、草の根レベルの当事者の声や状況が議論に反映されることが不可欠です。これまで、IMADRは主に、国連人権委員会やその下部機関である国連人権小委員会、付随する作業部会などに参加し、レポート(英文)を作成するとともに、他の国際人権NGOと共同、また独自の発言や声明を通じて、「職業と世系に基づく差別」の国際的認知、人権教育、マイノリティの権利、人身売買の撤廃、スマトラ沖地震による津波被災者やスリランカにおける紛争被災者の人権保護など、IMADRの活動テーマに基づくさまざまな問題提起を行なってきました。
国連改革の一環として、国連人権委員会が2006年に任を終え、新たに設置された人権理事会に引き継がれました。それにともない、人権理事会では、人権委員会から引き継がれた手続きや制度の見直しがなされると同時に、新しいシステムの構築が行なわれています。IMADRは、新たな制度が、NGOやマイノリティ当事者の声を議論に反映させるものになることを求めるはたらきかけにも活発に取り組んできました。
2007年9月の人権理事会第6会期で、マイノリティ・フォーラムの設置を定めた決議が採択されました。IMADRは、マイノリティ・ライツ・グループ(MRG)とともに、マイノリティの声を反映する場を人権理事会に維持することを呼びかけてきており、この決議採択を歓迎するとともに、2008年9月に開始されるこのフォーラムの今後に注目しています。
また、IMADRは、人権理事会のもとで新しく構築され、2008年4月に運用が開始された、普遍的定期審査制度(UPR)の活用にむけた活動をしています。この制度は、すべての国連加盟国の人権関係の義務・公約の履行について国連人権理事会が定期的に審査するというもので、4年間を一周期とし、192の国連加盟国すべてが審査対象となります。
~ロマに対する迫害とカースト制度に基づく差別に焦点~
日本はUPRの第二セッション(2008年5月5日~16日、ジュネーブ)で審査対象となりました。審査は5月9日に行なわれ、そこでは42ヶ国の政府が発言し、多くの人権課題について厳しい質問や勧告が提示されました。審査をうけて5月14日に、日本政府に対する26項目の勧告を含む報告書草案が採択されています。IMADRは、同制度に関する国内周知、NGOからの情報提供のとりまとめ、審議が行なわれたジュネーブでのロビー活動、審査を経て提示された勧告に関する日本政府への働きかけなど、この制度を有効活用するための活動を積極的に進めています。
さらに、人権小委員会を引き継いで新たに構築された人権理事会諮問委員会の動向にも注目しています。関連して、職業と世系に関する特別報告者の任務や、これまでの活動の成果が今後も人権理事会で活かされるよう働きかけています(詳細はこちら)。
UPR(普遍的定期審査制度)日本審査