新自由主義経済のグローバル化によって南北格差が拡大する中、よりよい暮らしを求めて、あるいは様ざまな抑圧から逃れるために、国境を越える人びとが増え続けています。彼女ら・彼らは移動の途中や滞在先で搾取にさらされ、安全を脅かされることが少なくありません。こうした「搾取的移住」の最たるものである人身売買は「現代の奴隷制」とも言われ、深刻な人権侵害を伴います。
IMADRでは、①人身売買を「マイノリティ女性に対する複合差別」と捉え、②売買春をめぐる立場の違いを超えて、③取り締まり強化ではない解決の道を探る、という基本姿勢のもと、人身売買、とりわけ性的搾取を目的とする女性と子どもの人身売買をなくすための活動を続けてきました。
①マイノリティ女性に対する複合差別としての人身売買 人身売買は、ジェンダー、貧困、人種、民族、国籍に基づく差別などの要因が複雑にからまりあった結果でもあります。人身売買された人びと、特に女性と子どもは、出身国において人種差別をはじめ様ざまな差別や抑圧を受けていた場合が少なくありません。また、受入国で人権侵害からの救済がなされない背景として人種差別の存在が指摘できます。
②売買春をめぐる意見の違いを超えて 売買春をめぐっては従来から、「売買春は性的搾取であり女性への人権侵害」と考える人々と、「性労働を権利として認め、人身売買と売買春は切り離して考えるべき」とする人々の間で意見が分かれています。IMADRは、「人身売買をなくす」という共通の目的のもと、立場の違いを超えて皆が同じ話し合いのテーブルにつけるよう、努めてきました。
③取り締まり強化ではない解決を 近年、人身売買対策として、加害者の摘発・処罰や、予防策としての出入国管理の厳格化が各国で進んでいます。こうした方策は確かに被害者の救済に役立つ面もあるものの、取り締まりの強化によって、人身売買行為がさらに見えにくくなって非正規移住者への搾取が増大したりする危険も指摘されています。IMADRは、搾取を生み出す社会構造を見据え、変えていくことこそが、問題の根本的解決のために必要だと考えています。
2007年08月30日