1. 国際的な基準づくりと政策提言
国連経済社会理事会の協議資格をもつNGOとして、旧人権委員会(2006年に人権理事会に改組)や人権小委員会(現・人権諮問委員会)をはじめとする国連の場で、人身売買された女性や子どもの人権保障の必要性を訴えてきました。同様に、「人身売買」「女性に対する暴力」「移住者の人権」に関する国連特別報告者制度の活用も進めています。
1998年、それまでの議論や調査を踏まえ、「人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約」(1949年)を補足する選択議定書の草案作成を提起した文書を、国連の現代奴隷制作業部会に提出しました。この文書は高く評価され、その要旨が第50会期国連人権小委員会の公式文書になりました。
国際組織犯罪防止条約を補完する人身売買禁止議定書(パレルモ議定書)の草案づくりの過程では、この問題にとりくむNGOに広く呼びかけ、人身売買被害者の人権の視点をもりこむよう、国連の関係部局に働きかけました。その結果、2000年11月に採択された同議定書は、不十分ながらも一定程度、被害者の人権に配慮したものとなりました。
パレルモ議定書の実施状況を監視するための締約国会議が国連麻薬犯罪局で定期的に開催されています。IMADRではこの会議の推移を注視しつつ、必要に応じ提言を行っていきます。一方で、被害者保護という点で同議定書を補う重要な意義を持つ、「人権および人身売買に関して奨励される原則および指針」(人権高等弁務官事務所、2002年)の普及・活用をはかっていきます。
2. 啓発・広報・ネットワークづくり
人身売買を「女性への暴力を伴う複合差別」と捉えることで、売買春をめぐって異なる意見を持つ運動体をつないできました。人身売買撤廃をテーマにした国際会議を世界中で開催し(関連情報「人身売買関連会議一覧」参照)、幅広いネットワークを築いてきました。その過程を通じて、人身売買を搾取的移住として、また複合差別として捉える観点を、国連機関やNGOの間に一定程度広めることができました。
内外の研究者との協働を通じた国際的ネットワークの拡大と理論基盤の強化を志向しています。反テロ戦争が移住者の人間の安全保障に及ぼす影響に関する国際比較研究や、中部大学人間安全保障研究センターの研究プロジェクト「グローバル都市ネットワークと人間安全保障」への協力を行いました。現在は大阪経済法科大学アジア太平洋研究センターの「人間安全保障・人身売買・搾取的移住研究会」と密接に連携しています。
3. 地域レベルの活動(日本委員会の活動は「日本での活動」を参照)
ラテンアメリカ・ベース
・ 教会組織や女性団体と共同でワークショップを開催し、人身売買の現状やなくすための取り組みを探っています。
・ 2006年1月より、アルゼンチンでの女性の人身売買についての調査を始めました。様ざまなデータを収集し分析しています。
アジア委員会
・ 南アジアのNGOと連携して、南アジア安全移住政策の策定、人身売買の被害者ケアと保護のマニュアル策定、移住に関する啓発教材の作成を行なっています。また、南アジア地域連合(SAARC)人身売買条約の履行監視制度の確立を求めています。