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スリランカ大統領および駐日大使への、タミル人の不当逮捕・拘束を憂慮する公開書簡

2007年12月7日

スリランカ大統領 マヒンダ・ラジャパクサ閣下
駐日スリランカ大使 ランジット・ウヤンゴダ閣下

スリランカ大統領および駐日大使への、最近起きた不当な逮捕と拘束についての公開書簡

反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)は、日本を拠点にマイノリティの平等と尊厳を掲げて活動する国際人権団体として、2007年12月の最初の3日間に起きた大量のタミル人の逮捕と身柄拘束を、深く憂慮しています。私たちは日本の市民社会の一員として、日本政府とスリランカの間で行なわれている経済協力を支持するものですが、両国間の友好関係を維持するため、関係当局に対し概略以下のような対策を取るよう促すことを、強く要請いたします。

私たちが入手した最新の情報によると、この3日間で2000人を超える人びとが逮捕され拘束されました。過去1年の間に、スリランカのタミル人社会が国家とLTTEその他の武装勢力から受ける嫌がらせや脅迫、恣意的な逮捕や拘束、誘拐と失踪、裁判外の処刑の頻度は、大幅に増加しています。最近の不当な逮捕と拘束は、セイロン島全土を対象にした取り締まり強化の過程で起きたものですが、背景にはそうした一般的傾向があります。このような行為はまた、タミル人社会が歴代の政権のもとで経験してきた周縁化と差別を助長するものでもあります。

2007年12月の初めの3日間にわたり、私たちは、コロンボ、カルタラ、ゴール、プッタラム、プッセラワとその周辺で、人びとが逮捕されているという情報を得ました。拘束された人びとの大半は若いタミル人で、そのほとんどが男性です。イスラム教徒の逮捕のケースも少なくとも1件、報告されています。女性が逮捕され、拘束されたとの報告も何件かあります。

入手した情報によると、それらの逮捕と拘束は、規定の手続きに則らない形で行なわれているとのことですが、だとすればスリランカ市民の基本的人権の侵害です。私たちが独自に調査したところによれば、拘束された人びとの多くは、警察当局作成のものなど正式な身元証明書類を持っているのにもかかわらず、逮捕されました。被害にあった人びととその家族に対し、逮捕の理由や法的な根拠は一切、説明されていません。家族のほぼ全員が拘留されたという場合においては、逮捕が恣意的なものであったことが明らかになりました。いくつかのケースでは、身柄拘束の理由に関わる情報は本人にも親族にも提供されていません。それどころか多くの場合、近親者は本人が拘束されたことを知らされずにいるのです。これらの行為は、2007年7月に再公布された大統領のガイドラインに明らかに違反します。独自の調査によると、逮捕や拘束の監視を任務とする国内人権委員会は、拘束された人のリストを何一つ受け取っていないようです。

私たちは、テロとのたたかいと安全保障をすすめるために何らかの措置を取る必要があることは認めますが、そうした措置は、基本的人権と市民的自由という基準に即したものでなければなりません。安全保障対策の根本的な存在意義は、一般市民の権利を保護するためであり、権利を抑えつけたり侵害したりすることではないはずです。

私たちはスリランカ当局に対し、警備活動を執り行う際、既存の法律を確実に尊重するように要請します。恣意的逮捕・拘束は、スリランカ憲法の基本的人権に関する章に盛り込まれている諸権利の本質的要素に反します。スリランカ憲法には、「市民はみな法の下では平等であり、恣意的な逮捕、拘束、残酷で非人道的な処遇、そして拷問から守られなくてはならない」と明記されているのですから。

私たちはまた、被拘禁者の直面している状況についても懸念しています。たくさんの人びとが警察署に連行されましたが、そこには限られた収容スペースしかなく、トイレや飲み水のような基本的設備も整っていません。拷問等に関する国連特別報告者であるマンフレッド・ノヴァク氏は、スリランカを訪問中の2007年10月、収容がしばしば過密状態に陥り、その結果として非人間的な処遇がなされている、と拘禁施設の劣悪な状況に言及しました。彼はまた、ブーサの拘禁施設でテロ捜査局(TID)によって行われている拷問にもはっきりと言及しています。

さらに、拘禁施設がどこにあるのか知らされず、被拘禁者への連絡が制限されている結果、被拘禁者と家族もしくは弁護士との連絡がほとんど、あるいはまったく取れない状態になっています。このことによって被拘禁者たちはますます孤立し、法的権利が抑圧されています。最近、安全上の理由により北部地域からの移動が制限されましたが、それにより家族が離れ離れになり、多くの若者が家族とまったく音信不通になっている可能性もあるなど、当事者がますます苦境に陥る事態となっています。

2007年6月8日、スリランカ最高裁判所は376人のタミル人がコロンボから追放されたことに遺憾を表明し、これ以上タミル人の追放がなされないようにすることを確保する暫定的な救済措置を講じました。この措置が示しているのは、すべての市民は法の下に平等で、自らが選んだ土地に居住する不可侵の権利を持ち、移動の自由があり、残虐で非人道的な処遇や拷問から守られる権利があるということです。すべての市民が平等に扱われるようにするため、こうした基準は遵守し尊重しなければなりません。

関係当局に対し、以下のような対策を取るよう促すことを要請します。

・不当に拘束されている人びとを解放すること

・さらなる恣意的逮捕・拘束を防止すること

・拘束を受けている人びとが、家族および弁護士と連絡が取れるよう確保すること

・赤十字国際委員会に、すべての拘禁施設への訪問を即刻許可し、同委員会がすべての被拘禁者に面会できるようにすること

・非常時規定、および大統領指令により定められている規則・手続きを遵守すること。それには、逮捕・拘束に関する手続きにおける親族および国内人権委員会への告知、証書の発行などを含む

・人権省が設置するヘルプ・デスクに、一般に閲覧可能な非拘禁者および拘禁施設の記録簿を含めること

・毎日更新される被拘禁者のリストを、拘禁施設で公開すること。その際、シンハラ語だけでなくタミル語でも表示すること

・国内人権委員会が、その任務にしたがって以下のことを実施すること
- 緊急ホットラインをただちに稼動させること
- 大量逮捕が起きたと報告される、または起きようとしている場所を緊急に訪問することも含め、逮捕・拘束の状況を主体的に監視すること
- 非拘禁者が拘束されているとされている場所を緊急に訪問し、訪問の詳細な内容を、委員会の見解・勧告とともに一般公開すること
- 逮捕・拘束の際とられる手続きについて調査を行なうこと

・加えて、国内人権委員会が、そのウェブサイトおよびすべての地域センターで非拘禁者および拘禁施設のリストを一般公開し、日々更新すること

・収容キャンプおよび警察留置場での拷問行為を即刻停止し、責任者を訴追すること

・拘禁施設の環境を改善すること

・2007年10月のスリランカ訪問を受けた、拷問等に関する特別報告者による勧告を取り上げ、これを履行すること


反差別国際運動日本委員会 理事長  武者小路公秀


(翻訳協力:高橋理慧)

 

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