反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)声明
2009年6月30日
外国籍者の管理強化ではなく、権利確立を
―入管法・入管特例法、住民基本台帳法・改定案成立への動きに抗議する
6月19日、入国管理法、入国管理特例法および住民基本台帳法改定案が衆院を通過し、現在参院での採択にむけた審議が行なわれている。IMADR-JCは、この動きに遺憾の意を表明する。これらの改定案は、外国籍者への国家の管理を強化し、さらに排除・周縁化する、人種主義的制度につながるものである。
今回衆院を通過した改定案は、「在留カード」の常時携帯、住居地や所属機関の変更の届出を、刑事罰や在留資格取消をもって義務付けるという非常に重い負担を課し、所属機関や学校などが外国籍者の個人情報を届け出ることを求め、外国籍者の「管理」を押し進めるものである。この新制度下では外国籍住民の個人情報が法務省に収集・一元化され、日本人の個人情報については許されていないようなデータマッチング・利用がなされうる。さらに、同改定案は非正規滞在者や難民申請者を制度の対象外とすることでこれらの人びとを社会において不可視な存在とし、また、地域の行政サービスや教育の場を奪うことにつながる可能性がある。加えて、日本人・永住者の配偶者として滞在している人びとが一定期間「配偶者としての活動をしていない」場合在留資格取消しできるとしており、DV法の適切な運用からDV被害者である外国人女性を排除し、人権侵害を拡大する要因となる。また、新設される「みなし再入国許可」の規定は、朝鮮籍の在日コリアンを排除しうる内容である。上記の問題の一部については、衆院での審議を経て、付帯決議や一部の修正が加えられているが、問題が解消されたとはいえず、いまだに非常に差別的な内容を含んでいる。
2009年4月にスイス・ジュネーブで開催されたダーバン・レビュー会議成果文書の文面には、「78.すべての差別的な政策と勧告を撤廃する目的で、入国管理政策が国際人権義務と矛盾していないかを見直して、必要ならば変更するよう、すべての国家に求める」とされている。
日本は、外国籍住民の住民としての権利、マイノリティとしての権利を十分に保障しないまま、国家による管理の対象としてきた。そのなかで、2007年11月、「テロ対策」を口実に導入された、16歳以上の外国人のほとんどに指紋や写真などの提供を義務付ける日本版「US-VISIT」などの人種主義を制度化する法制度が作られ、運用されてきている。国家がマイノリティを社会の中で排除・周縁化し、管理対象として扱う動きには、常にマイノリティに対する憎悪や恐怖の煽動がともない、このような扱いが異常なものではなく当然であるかのような仮説が、権力の維持・拡大に利用されてきた。
グローバル化のもと、また、外国人労働者の受け入れ拡大にむけた政策が盛んに提示されるなかで、日本は現実として多民族化が進み、今後もその流れは止められない。そのなかで、今、必要とされているのは、外国人を犯罪者扱いし、外国籍住民を管理対象として扱うことではなく、日本社会がこれらの人びとの存在を認識し、地域・社会を共有する住民として受け入れ、住民としての諸権利を保障することである。異なる背景やアイデンティティを持つ人びとが尊重され、ともに豊かにしていく多文化・多民族共生社会をめざすためにも、今回の法案による人種主義・人種差別のさらなる制度化を許してはならない。IMADR-JCは、入管法・入管特例法・住民基本台帳法改定案に反対し、参院での慎重な審議を求める。
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