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反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)第20回総会アピール

「100年に一度」といわれる世界的な経済危機は、その底流にある新自由主義経済路線が完全に破綻したことを物語っている。にもかかわらず、各国はその原因に目をむけず、結果の対応に追われ、何がこのような事態を引き起こしたかについて充分直視していない。それどころか経済危機や「テロ対策・治安維持」を口実にして、また国籍や民族等の違いを理由に、各国は人種主義的・排外主義的な政策を巧みに合理化し、差別を制度化している。国際社会がはぐくんできた国際人権基準はないがしろにされ、世界の被差別マイノリティ・先住民族は、ますます国民国家や市民社会の枠組みの外へと追いやられようとしている。

日本においては、入管法等のさらなる改悪によって法務省による「在留カード(仮)」での外国人の一元管理化が進められ、国家による人種主義的な外国人管理が一層強化されようとしている。在留資格のない外国人への行政サービスがほぼ取り消され、在日コリアンへの処遇の改善も極めて限定的である。またそうした土壌の上に、先進技術を駆使したマイノリティに対するインターネット上の差別扇動や人権侵害が多発している。グーグルアースやストリートビューを使って被差別部落地区を特定した事件がおこり、それにより複製可能なデータによる部落地名総鑑が新たに作られ無限に広がる可能性が危惧されている。

しかし一方で、これまでの取り組みが形となり、反差別国際運動の前進を示す「希望」もある。国連総会での「先住民族の権利に関する国際連合宣言」採択を追い風として昨年日本政府がアイヌ民族を日本の先住民族としてはじめて認めたこと、人種差別撤廃NGOネットワークによる共同行動を通じたマイノリティの連帯の促進、マイノリティ女性の実態調査と政府交渉を通じた運動基盤の強化と裾野の拡大、職業と世系に基づく差別に関する新たな国際人権基準設定への展望、「狭山国際連帯キャンペーン」を通じて海外から寄せられる署名や連帯のメッセージなどをあげることができる。さらに今後、国連の人身売買に関する特別報告者による日本公式訪問(2009年7月)、女性差別撤廃委員会や人種差別撤廃委員会による次回日本報告書審査(順に2009年7月、2010年2-3月)など、日本の人権状況が国際社会に監視される機会も見通される。

危険な潮流に抗い、好機を的確に捉えつつ、広範な連帯にもとづくマイノリティ当事者の「現場」からの声を中心にした、共同の問題提起・取り組みの粘り強い展開が、益々求められている。IMADR-JCは、それを実現すべく、人種主義・人種差別的な動きや情勢、政策を変えていくために声を発し、国際的な人権保障メカニズムを有効に活用し、マイノリティ当事者団体・NGOの広範な連帯にもとづく共同行動を通じて、人権侵害救済法や差別禁止法の早期制定の実現をはじめ、共通の課題の実現にむけて全力を尽くす。また、アイヌ民族の先住民族としての権利確立に向けた取り組みに呼応し、その実現に向けた広範な連携を呼びかける。さらに、「職業と世系に基づく差別」の撤廃に向けた国連での取組の継続と発展を求めていく。そして、マイノリティ間、マイノリティとそれ以外の人びとが、国内であるいは国境を越えて結びつくことを通じて、差別撤廃・人権確立を推し進める力をはぐくんでいくために引き続き全力を尽くしていくことを決意する。

2009年6月30日
反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)第20回総会

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