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反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)第19回総会アピール

新自由主義のグローバル化によって、世界の被差別マイノリティ・先住民族が社会の周縁へとさらに追いやられている。その影響は日本にも及び、一億総中流と言われていた社会が格差の大きい社会へと変貌してきている。また、排外主義を利用して「国民の敵」をつくりあげ、その「敵」から「国民を守る」という口実により、マイノリティ間やマイノリティとそれ以外の人びとの分断を進め、マイノリティ・外国人をスケープゴートにして治安強化・権力基盤の維持拡大を図ろうとする立法・政策が依然として進められている。「人権侵害救済法」(仮称)の制定には否定的な対応に終始する一方で、「共謀罪」を新設しようとする試みや、日本に入国する外国人の指紋や顔写真などの提供の義務づけと、その情報の犯罪捜査への「活用」も可能にした入管法の改定(2007年11月施行)、法務省による「在留カード(仮)」での外国人一元管理化の画策などは、その最たるものである。また、いわゆる「立川テント村事件」に対して最高裁判所が有罪判決(2008年4月)を出したことに見られるように、この国における政府と異なる意見を表明する自由への権利は、弾圧の危機にさらされている。

しかし同時に、私たちは、運動の拡大につながる好材料も確実に存在していることを忘れない。世界社会フォーラムなど新自由主義のグローバル化に明確な「ノー」を突きつける運動の世界的拡がり、反差別国際連帯活動の広がりと深まり、人種差別撤廃NGOネットワークの結成、マイノリティ女性の実態調査を通じてできた連帯の絆、職業と世系に基づく差別に関する新たな国際人権基準制定への展望、「狭山国際連帯キャンペーン」を通じて海外から寄せられる署名や連帯のメッセージなどをあげることができる。

また、最近では、いわゆる「取調べの可視化法案」の参議院本会議での採決(6月4日)や、婚外子の国籍について国籍法を違憲とする最高裁判決(6月4日)、アイヌ民族を先住民族と認める国会決議採択と官房長官談話の発表(6月6日)、ハンセン病問題基本法の成立(6月11日)など、差別撤廃・人権確立に向けた歴史的な判決・決定も相次いでいる。

さらに、国連では、ついに「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が国連総会で採択され(2007年9月13日)、障害者の権利条約が発効(2008年5月3日)し、新たに新設された国連人権理事会の下に「普遍的定期審査(UPR)制度」、「人権理事会諮問委員会」、「マイノリティ問題に関するフォーラム」「先住民族に関する専門家機構」などが設置され、日本を含む世界の人権状況を監視、確立していく枠組みが着々と整えられつつある。また、今年度は、普遍的定期審査(UPR)による日本審査が行なわれ(2008年5月)日本政府に26項目もの勧告がなされ、自由権規約委員会による第5回日本報告書審査も予定されており(2008年10月)、日本の人権状況が国際社会に監視される機会も多く存在する。

多様なアイデンティティを持つ人びとが、お互いの存在や違い、歴史を理解し尊重しあう、真の多文化共生を目指してきたIMADR-JCの活動が、昨年度までに引き続き、今までにない正念場を迎えている現状を受け止め、同時に、好機を的確に捉えつつ危険な潮流に抗う力を粘り強くはぐくむことが、今求められている。私たちは、人種主義・人種差別的な動きや情勢に対して、明確な反対を貫き、国際的な人権保障メカニズムを有効に活用し、差別の結果のみならず差別を生み出す構造や歴史を捉え、変革していく取り組みに、より一層の力をそそぐ。そしてそのために、マイノリティ当事者の現場からの声を中心にした、マイノリティ間、マイノリティとそれ以外の人びとによる広範な連帯をさらに進めることに、全力を尽くすことを宣言する。

2008年6月26日
反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)第19回総会

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