反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)は、2008年10月15日から16日にかけて自由権規約委員会により行われた同規約第5回日本報告書の審議における重要な協議、ならびに10月30日に発表された委員会の最終見解により日本政府に向けられた34項目にわたる建設的な提起を歓迎する。
しかしながら、とくに規約第26条において規定される、法の前の平等、第27条のマイノリティの権利に関する分野では、議論が十分に深められなかった部分があったことを懸念する。とくに、審査に先立ち委員会より政府に提示された質問リストにおいて問われていた、差別を包括的に禁止する法の不在については、審議のなかで十分な議論が及ばず、最終見解で扱われていない。また、部落差別の問題に関しては、前回審査において解決のための措置をとるよう勧告され、また今回の審議の中でも言及がなされているにも関わらず、前回の勧告の履行状況を委員会が十分に吟味し、最終所見中で、必要な措置を提示できていないことは大きな問題であると考える。
IMADR-JCは、最終見解第6段落において提示された、これまでの審査で出された多くの勧告が未履行であることへの委員会の懸念、ならびに、過去の審査による勧告を今回のものと同等に有効とするべきであるとの指摘を支持する。とくに、部落差別の問題に関しては、生活、教育、労働等の実態面での格差、いくつかの自治体の調査で明らかになっているこれらの実態の悪化(2005年鳥取県調査、2006年三重県桑名市調査)、部落問題理解の実態における後退(2005年大阪府調査)、悪質な差別事件の多発(2005年以降発覚してきている行政書士等による戸籍謄本等不正入手事件)、部落地名総鑑(電子版含む)の回収)、などの問題が現在も依然として存在することを強調する。1993年以降、政府による実態調査は実施されていない。政府として今日的な部落差別の実態を把握し、上記の問題を抜本的に解決するための法制度の整備を含む方針を明らかにすることが求められている。
今回の最終見解により、日本政府に対し、パリ原則に基づく独立した国内人権機関を設置すること(第
9段落)、被疑者に自らの事件に関し警察のもつすべての記録へのアクセスを保証すること(18段落)、日本軍「慰安婦」問題に関する法的責任を認め、謝罪と補償、教育を行なうこと(22段落)、人身売買の被害者保護、加害者への量刑見直し、被害者の数に関するデータの収集などを行なうこと(23段落)、外国人研修生に関する制度を改善すること(24段落)、難民申請者への対応を改善し、政府から独立した不服申し立て機関を設置すること(25段落)、婚外子に対する差別的法制度を撤廃すること(26段落)、性的指向を法律上の差別禁止の対象に入れ、同性カップルに異性カップルと同じ権利を認めること(27段落)、外国籍住民が国民年金から差別的に排除されないよう経過的措置を講じること(30段落)、朝鮮学校に対する平等な扱い(補助金、寄付への課税、卒業生の大学入学資格)を確保すること(31段落)、アイヌ民族と琉球/沖縄の人びとを国内法下で先住民族であると認め、文化遺産と生活様式を保護・促進する特別措置を講じ、土地権を認め、子どもたちが自らの文化・言語・歴史に関する教育を受けられるよう確保すること(32段落)などが勧告されたことを歓迎する。
IMADR-JCは、委員会による次回審査にむけて、これまで「最終見解」を通じて提示されてきた人権課題に、市民社会との相互の対話に基づいて誠実にとりくみ、規約の締約国としての人権基準を満たすための努力をするよう、日本政府に強く呼びかける。
2008年11月18日
反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)
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