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人身売買ブローカーに対する厳重な処罰を求める要望書

東京地方検察庁 公判部
第11検事室  熊谷検察官様

日ごろのお働きに感謝いたします。
私たち女性の家HELPは、国籍、在留資格を問わない女性と子どものための緊急避難所で、1986年の設立以来3000人を超える女性たちが利用しています。利用者は様々な暴力から逃れてきており中でも、海外から日本に人身売買された数多くの女性たちが厳しい監視、管理下からHELPへ避難してきています。
このような人身売買の被害者はHELP全利用者の3割強を占め、ここ数年はコロンビア国籍の女性たちの利用が多く、警察庁にブローカー取締りの要望書を出すなど活動を続けてきました。昨年12月20日に、最大手の人身売買ブローカーである萩原孝一(通称 ソニー)が逮捕されたいへん安堵いたしましたが、これから行われる裁判で今後これ以上の被害者が生まれぬよう重罰に処するような裁判に導いていただけますようお願いいたします。
私たちは今までにHELPに逃げてきた多くのコロンビア人女性から「ソニー」の名を聞いております。彼女たちは彼らから架空の借金を課せられたあと、逃げられないよう見張りをつけられて道に立って客をとらされたり、劇場に連れていかれセックスショーを強制させられるなど性・借金奴隷とさせられました。
女性たちは売春を拒むたびにソニーやその仲間からひどい暴力を受けており、中には殴られ歯を折られたり、体中があざだらけの女性もいました。これまでに何度も警察に連絡していましたが、証拠不十分ということで「ソニー」が逮捕されることはありませんでした。しかし、今回の逮捕の影には何百人もの女性の人権が踏みにじられてきています。
また、今回の逮捕の容疑は不法就労斡旋、有害業務紹介ということですが女性たちが利益を得ることなく、来日前は「レストランの仕事」、「ベビーシッター」などと紹介されて日本に連れて来られ、売春を強要されていました。中には監禁状態に置かれた中で精神的に異常をきたし逃げることのできなかった女性もいると聞いております。
これらの女性たちは入管法違反ということで母国に強制送還されていますが、女性たちはブローカーらの暴力にさらされてきた人身売買の被害者なのであり、彼女たちを日本に連れてきて暴利を貪ってきたソニーをはじめとする人身売買ブローカーこそ犯罪者であります。そして万が一、ソニーがすぐに出所し関係者らが活動を再開するようなことになれば、またさらに多くの被害者たちが日本に連れてこられることになるのは明白であります。
日本政府は昨年「国際組織犯罪禁止条約を補完する、人身売買、特に女性と子どもの人身売買の防止・禁止・処罰に関する議定書」(仮訳)に署名しました。本議定書第9条では「人身売買を防止、根絶」し、「人身売買の被害者、特に女性と子どもが再度被害者となることがないように保護すること」を定めるよう締結国に対し求めています。
また、今回の逮捕はコロンビアを初めとする海外のメディアでも大きく取り上げられてきており、日本の人身売買問題への取り組みに対する関心が寄せられています。法治国家日本において全ての人間の人権が守られ、これ以上の被害者を生み出すことのないような裁判を導き出していただきたいと思います。

2003年2月5日

財団法人日本キリスト教婦人矯風会 会長 高橋喜久江
女性の家HELP ディレクター 大津恵子
賛同団体
・京都YWCA APT
・女性の家 サーラー
・タイ女性の友
・日本カトリック難民移住移動委員会
・売買春問題と取り組む会
・反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)
・hand in hand ちば
・NGO神戸外国人救援ネット 

 

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