2009年5月23日
反差別国際運動(IMADR)は、スリランカ政府とタミル・イーラム解放の虎(LTTE)との間の武力紛争が、政治的・平和的手段でなく武力によって公式的な「終結」を迎えたことに対し、きわめて強い遺憾の意を表明する。内戦のすべての被害者、とりわけ亡くなった一般市民と遺族に哀悼の念を表す。
IMADRは、この紛争のすべての当事者が犯した疑いのある人道法違反・戦争犯罪について、調査がなされるべきだと考える。とりわけ今年4月以降に起きたと伝えられている虐殺行為―病院への爆撃や無差別攻撃、避難民の密集した北部ヴァンニ地域への人道援助物資の搬入制限、援助機関職員の殺害―が、停戦を促す国際社会の声を最後まで無視して行なわれたことについて、独立調査および責任者への裁判を求める。
IMADRはまた、国際社会がこの紛争を政治的解決に導くことに失敗した点にも遺憾を表明する。日本に基盤を持つNGOとしてはとくに、日本政府があいまいな姿勢をとりつづけ、最大の援助国としてスリランカ政府にパイプを持ちながら「軍事的決着」を思い止まらせることができなかった点に失望を禁じえない。国連人権理事会は理事国17カ国の呼びかけにより、スリランカについての特別会期を5月26日に開催することを決定したが、理事国である日本政府がこの呼びかけにも加わらなかったのは残念でならない。
あらゆる暴力・テロ行為は非難されるべきであるが、同時に、それらが引き起こされるに至った根本原因は何かを考え、それを取り除くことが必要である。しかし、政府の統制を受けたマスメディアや政府自身のプロパガンダにより、スリランカで昨今、シンハラ人の優位・支配色が濃厚になってきており、私たちはそのことに危機感を抱いている。スリランカ政府は、多様な文化、民族、宗教の共生共存をみとめる精神風土の醸成に努めるべきである。そして、国内外に向けて、タミル人、ムスリムをはじめとするマイノリティの権利を保障し多民族国家を構築するための政治的枠組および政策を明示するべきである。
すでに日本を含む国際社会は、スリランカの「内戦からの復興」に向けた支援へと動き出している。私たちは、そうした財政的支援は、国連及び英連邦の一員としてスリランカ政府が遵守を確約した枠組みに沿って行なわれるべきことを強調したい。今日までスリランカ政府は、戦争遂行に関わって自らが国際社会に対してした約束をすべて反故にしてきた。長引く紛争に莫大な資金が費やされ、内戦が激化したこの2年半、スリランカの軍事支出は政府の財政支出全体の5分の1に上った。平和的解決によって、武器・重火器の調達に使った分の莫大な金額を民生安定に充てることができたはずである。これは、スリランカへの援助金の使途が問われる重大な問題である。
上記の点に鑑み、IMADRはスリランカ政府が速やかに以下を行なうよう求める。また、以下の諸点は、国際社会とスリランカ政府との間で援助協定を結ぶ際の前提条件とされるべきである。
a) 政府・LTTE双方の紛争当事者に対する、戦争犯罪に関する調査の促進に同意すること。
b) 国内外に向けて、タミル人、ムスリムをはじめとするマイノリティの権利を保障し多民族国家を構築するための政治的枠組および政策を明示すること。
c) 国内避難民に関わる以下の措置をとること:
i) 国際赤十字委員会(ICRC)などの国際機関が避難民キャンプ、拘禁施設、更生施設に登録された人びとに全面的にアクセスできるようにすること。
ii) 1ヵ月以内に避難民キャンプにいる民間人を登録し、議会でその一覧を呈示して公開すること。
iii) 国際援助機関へのあらゆる制限を取り除き、良心的に支援を行なおうとする人びとが活動できるようにすること。
iv) 避難民キャンプにいる人びとが参加を強制される選挙は自由さ・公正さを欠くおそれがあるため、そうした形の選挙は行なわないこと。
v) 6ヵ月から1年以内に、民間人が自分の土地に帰還できるようにすること。
以 上