反差別国際運動(IMADR)は、国連ダーバンレビュー会議(DRC)は人種主義と人種差別および関連する不寛容に対する国際社会の闘いにおける重要な節目であると考えている。成果文書を起草する過程において様々な限界があったが、提案された成果文書は人種主義と人種差別と闘う上で非常に重要な点を少なくともいくつかはあげている。
ダーバン宣言と行動計画(DDPA)の実施は国内レベルを中心にあらゆるレベルで重要であると考えてきたIMADRは、人種主義をなくすためにDDPAを強化する策を盛り込んだ国連人権高等弁務官の具体的な提案(2009年3月)を歓迎する。同時にIMADRは、いくつかの国が政治的な理由でダーバンレビュー会議への参加を準備段階から取りやめたことに深い懸念を表明する。そのような立場をとることは遺憾であるとともに、マイノリティ、先住民族、スィンティ・ロマ、アフリカ系やアジア系の子孫、移民、そして女性と子どもをはじめとした人身売買の犠牲者の権利を歴史的に守ってこなかった国家の一部に責任が欠如していることを示している。
IMADRはまた、成果文書(案)は“テロとの闘い”や最近の世界金融危機などが起きたダーバン会議以降の時代における重大な問題を無視していることに失望を抱いている。IMADRは、これら最近の大きな変化は人権侵害を招き、マイノリティや先住民族に属する人びとなど、最も脆弱な集団が平和に暮らす権利を奪い、人種主義、人種差別および外国人嫌悪との闘いを妨害してきたという事実を指摘したい。
IMADRはまた、成果文書(案)はユダヤ人とイスラム世界を巻き込んだ人種主義の重大な問題を明確に指摘していないことに懸念をもって認識している。IMADRは国際社会に対し、特にユダヤ人とパレスチナ人双方の平和に暮らす権利が侵害されている中東などにおける反ユダヤ主義およびイスラム嫌悪との闘いに、その関心と努力を向けるよう強く求める。
IMADRは、2億6千万もの人びとに対する「職業と世系」に基づく差別の重要な問題にダーバン会議およびダーバンレビュー会議がはっきりと言及しなかった事実を遺憾に思う。この差別に関する言及は不信感を抱かせる政治的な手続きにより、ダーバン宣言と行動計画の文書から削除された。南アジア、東アジアだけではなくアフリカの膨大な数の人びとに影響を及ぼしてきた職業と世系に基づく差別は、人種差別撤廃条約において重大な侵害であると正式に認められているほか、旧人権委員会からは特別の注意が向けられ、この差別に関する報告書および効果的な撤廃のための原則と指針を作成する2人の特別報告者が任命された。このような状況により、IMADRはダーバンレビュー会議に特別報告者の報告書を真摯に検討するよう強く求める。
上記を鑑みて、IMADRは、ダーバン宣言と行動計画およびダーバンレビュー会議の成果文書は、長年差別と排除の被害とされてきたマイノリティ集団、先住民族、スィンティ・ロマ、アフリカ系およびアジア系の子孫、(法的地位に関係なく)すべての移住者および女性と子どもなどの人身売買の被害者すべてにむけて実施させる必要があることを強調する。
したがって、IMADRは国家にダーバン宣言と行動計画およびダーバンレビュー会議の成果文書に盛り込まれた内容を実施するよう促すとともに、国際社会にこれら文書の実施をモニターする効果的なフォローアップのメカニズムを設置するよう促す。ダーバンフォローアップを強化するためには、既存の国際人権メカニズム、とりわけ、1)現代的形態の人種主義、人種差別、外国人嫌悪および関連する不寛容に関する特別報告者、2)人種差別撤廃委員会、そして、3)普遍的定期審査(UPR)などの既存の国際人権メカニズムを最大限活用することが重要である。
IMADRはまた、被差別コミュニティや被差別集団が、国際人権基準と人権保護メカニズムの意思決定、発展および実施のあらゆるレベルに参加することは、人種主義、人種差別、外国人嫌悪および関連する不寛容を効果的に防止して撤廃するためには最も重要であると確信していることに再び言及する。この観点より、私たちは、一部のNGOの認定に関して国連が14日ルールを使って参加を認めなかったことに不快感を抱いている。特に、IMADRのメンバー組織の1つであるインドの農村教育開発協会(SRED)がこのルールによって参加を認められなかったことを非常に残念に思う。
IMADRは、あらゆる形態の差別と人種主義の完全撤廃のためにあらゆる努力を払うことを誓うとともに、この目的達成のためにすべての関係者と積極的に協力して努力を続ける。
2009年4月21日
理事長 ニマルカ・フェルナンド
副理事長 武者小路公秀
事務局長 原由利子
(原文:英語、翻訳:IMADR事務局)