人権促進保護小委員会
第56会期 2004年7月26日-8月13日
国際ダリット連帯ネットワーク(IDSN)の創設メンバーであるルーテル世界連盟(LWF)と反差別国際運動(IMADR)になり代わり発言いたします。 LWF、IMADR、そしてIDSNに集まるその他の組織は、この数年、カースト差別の問題と、とりわけ南アジアのダリット―以前は"不可触民"と呼ばれていた―の状況に関連して、小委員会で提言活動を活発に行ってきました。私たちは、このコミュニティおよび世界中の類似したアウトカーストのコミュニティが継続的におかれてきた苦境に、国際人権システムがさらに注意を向けるよう、さまざまに促してきました。したがって、私たちは、小委員会が人種差別撤廃委員会と共にこの問題を取り上げてくださったことに感謝しています。
私たちは、横田さんおよび元小委員会メンバーのアイデさんとグネセケレさんが、この問題を解明してくださったこと、そして、この問題の多面的な重要性について私たちの理解を深めてくださったことに感謝の意を表したいと思います。とりわけ、横田さんとアイデさんが、小委員会の本会期に提出した職業と世系に基づく差別に関する第三次ワーキング・ペーパーを作成してくださったことにお礼を申しあげるとともに、そこに含まれている勧告に対する私たちの支持を表明いたします。
職業と世系に基づく差別に関する3つのワーキング・ペーパーは、以下に述べる重要な事実の数々を証明しました:
第一に、しばしば古代の文化的慣行と深く結び付けられるが、職業と世系に基づく差別は国際人権法の精神にもその意味にも対立する。
第二に、職業と世系に基づく差別は、世界の多くの地域や国、とりわけ南アジアのいくつもの部分に住むかなりの数の人々が継続的に経験させられてきた。一番新しいワーキング・ペーパーはまた、多数のディアスポラのコミュニティでもこの形態の差別が根強くあることを示しており、この問題の地理的範囲は当初予想していたよりも広いことが分る。
第三に、この形態の差別の主な特徴あるいは柱は、世系(すなわち、出生により帰属が決まる)、職業(すなわち、職業の分化あるいは仕事の種類や社会における機能的役割との関係)、同族婚による分離、そして浄・不浄の概念である。この形態の差別にはその他多数の共通する特徴があり、第二次ワーキング・ペーパーに特定されている。
第四に、この形態の差別の結果は、しばしば、最も極端でひどい性質のものになる。
第五に、この問題に関して小委員会が現在入手できる報告は不十分であるが、日本そしてインドに代表されるごくわずかの政府が、この形態の差別に取り組む措置を憲法上、法律上および行政上とってきた。しかし、これら措置の多くは実施や実質的影響を欠いており、これらコミュニティの多数のメンバーは日常生活の中で継続して差別や排除を経験させられている。
アイデさんと横田さんが第二次ワーキング・ペーパーで締めくくったように、"この差別の形態は、その要因と表現が組み合わさり、これまで小委員会が検討してきた他の形態の差別とは異なります"。お二人は、"影響を受ける人の数とそれに伴う差別的態度や行為の多くがもつ極端な性質を考えれば、この問題は政府および国際人権システム両者の綿密な調査と注意を必要としている"と判断しました。
差別を防止してマイノリティを保護するための措置を分析して提案することは、小委員会の当初からの役割であり中心的な責務です。つい近年まで国連人権システムにおいて本質的には取り組まれてこなかった職業と世系に基づく差別の問題は、それゆえ、小委員会の特殊な専門知識とシンクタンクとしての役割にとって理想的で必要不可欠なテーマです。
明らかに、小委員会は、小委員会独自の力で、数世紀あるいは数千年存続してきた問題を解決することはできません。しかし、小委員会は、この問題の根深さとその人権の含蓄に注意を集め、適切な原則を識別して撤廃のための措置を提案し、政府、政府間組織そして市民社会にそれらを実施するよう促すことができます。小委員会はまた、ベスト・プラクティスを識別して促進するために、一部の政府がとってきた措置をさらに細かく調べることができます。
そのため、私たちは、小委員会のすべてのメンバーが、政府のとった措置に関するより包括的な情報を取得し、ペスト・プラクティスを識別し、職業と世系に基づく差別の効果的撤廃のための原則と指針の草案を作成するために、第三次ワーキング・ペーパーにあるこの問題に関する調査と特別報告者の任命を求めた勧告を支持するよう訴えます。これはまさに、差別なくすべての人々の人権確立の闘いにおいて、小委員会が行えるもう一つの歴史的貢献になるでしょう。
発言者:Peter N. Prove (ルーテル世界連盟)
翻訳:山内貴美子(IMADRジュネーブ事務所インターン)
監訳:IMADR国際事務局