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2005年3月17日
日本の司法はまたしても、自らが差別を助長、永続化する機関であり、えん罪の疑いに対して誠意ある姿勢を示す意思と能力を持たないことを明らかにし、差別をなくすための最後の砦としての責任を放棄した。反差別国際運動(IMADR)は、最高裁判所第一小法廷による本日の、狭山事件の第二次再審請求棄却に対する異議申立棄却を受けた特別抗告の棄却決定に強く抗議する。同時にIMADRは、司法の判断が差別に基づく臆断を排除していることを立証する責任は、差別された側ではなく司法権の側こそにあることを再度強くうったえる。
無期懲役の判決を受け仮釈放まで32年間を獄中で過ごした石川一雄さんは、事件発生から42年が経とうとしている今も無実を叫びつづけている。その間、被差別部落に対する差別的な見込み捜査や報道が原因となって石川さんが逮捕されたこと、警察留置場(代用監獄)での長期にわたる脅迫的な取調べにより嘘の自白を強要されたこと、また、えん罪を疑わせる数々の証拠が明らかになり、過去の裁判に過ちがあったことが指摘され続けてきた。
にもかかわらず日本の司法当局は、検察側の手持ち証拠を弁護団に開示することを拒み続けており、えん罪の疑いを公開で検証する道を閉ざしている。IMADRは日本の司法当局に対し、狭山事件に関する検察の手持ち証拠を開示し、28年間閉ざされてきた再審への道を開き、石川一雄さんに正義をもたらすよう今一度強く求める。
日本の政府当局もまた、死刑判決が下された30数年の後に再審の結果無罪となるケースが相次いだにもかかわらず、誤判救済、えん罪防止のための適切な措置をとることを怠ってきた。警察は、被疑者を起訴、裁判なしに最長23日間、警察の管理下に拘禁することを可能にする制度(代用監獄制度)を維持し、警察による取調べを録音、録画しない上に、取調べを制限する規則をも制定していない。個人が国連・自由権規約委員会に直接通報を行なうことができる制度を定めた自由権規約の第一選択議定書の批准や、政府から独立した国内人権機関の設置などは、そのような問題の改善につながると考えられるが、政府はこれまでに十分な方針を示していない。IMADRは、国際的な人権基準に則ってこれらの制度を早期に改善することを求める。
狭山事件をはじめ世界各国における数々の事例が、特定の集団に対する社会的差別とそれを反映する司法運営や警察制度が並存した際に、一人の人間にどのようなおそろしい運命をもたらす可能性があるかを物語っている。インドのダリット(カースト制度下で「不可触民」として差別されている人びと)は罪をでっちあげられ逮捕されたあげく、拷問で命を奪われている。欧州などのロマは、警察により「危険を及ぼす可能性がある」として個人情報を登録され、警察の暴力を受けている。米国をはじめとする各国のイスラム系の人びとは、とりわけ9.11事件後に同様の取り扱いをされている。各国の移住労働者や難民申請者をはじめとする外国人は当局や市民により排斥されている。そして、司法は往々にして差別を行なった当局の責任を「免責」している。
世界各国で警察が、人種、民族、出身国などをもとに対象を選定した捜査を行ない、司法が、差別にもとづく捜査当局の臆断を排除する機能を果たしていない実態を憂慮し、国際社会はさまざまな対策を講じている。2001年に開催された反人種主義・差別撤廃世界会議や国連人権小委員会では「人種主義と司法運営」が世界的な問題として扱われ、国連・人種差別撤廃委員会は、近年採択したいくつかの一般的勧告において、同様の問題について各国政府に適切な措置を講じるよう求めている。同委員会が本年8月に、「司法制度の機能と運営における人種差別の防止に関する一般的勧告」を採択する見通しもある。また、証拠開示や代用監獄制度などの起訴前勾留手続きについて国際的な人権基準の求めるところは、もはやはっきりしている。
最高裁判所による本日の特別抗告棄却は、そうした国際社会の努力をもないがしろにし、石川さんをはじめ世界各国でえん罪を闘う人びとの希望を踏みにじる非人道的な決定である。日本の司法ならびに政府当局は、石川さんの無実を含む誤判を救済し、えん罪を防止するためのあらゆる適切な措置を早急に講じることによってしか、もはやその失点を回復することはできない。
狭山事件の第二次再審請求への特別抗告棄却を受けて各国から寄せられた連帯メッセージ
集約・翻訳:反差別国際運動(IMADR)
【テオ・ファン・ボーベンさん(オランダ)より】
狭山事件に関するこの度の最高裁判所の決定に関して、部落解放同盟の皆さまに対し、私の同情の気持ちと心からの遺憾の思いをお伝えいたします。
同時に、皆さまに対し、正義と平等のための皆さんの闘いに対する私の強い連帯をお約束申し上げます。
2005年3月18日
テオ・ファン・ボーベン(国連人権委員会拷問等に関する特別報告者/IMADR理事)
【公正な世界のための国際運動(JUST)(マレーシア)より】
公正な世界のための国際運動(JUST)は、日本の最高裁判所が2005年3月16日に、狭山再審弁護団による特別抗告を棄却したことを知りました。
JUSTはその決定を非常に遺憾に思います。それは、最高裁判所が明らかな裁判の誤りを正すことを放棄したことを意味しています。それどころか、その決定は、日本社会における差別的行為を永続化することを認めたことになるでしょう。
2005年3月18日
公正な世界のための国際運動(JUST)
代表 チャンドラ・ムザファー(IMADR理事)
【ドイツ・スィンティ・ロマ中央委員会(ドイツ)より】
石川一雄さんと部落解放同盟への連帯メッセージ
本日の抗議集会にあたり、ドイツ・スィンティ・ロマ中央委員会の議長として、石川一雄さんならびに部落解放同盟による石川さんの無実と再審を求める闘いの継続に対し、心からの連帯のメッセージを差し上げます。
日本の最高裁判所が3月17日に、弁護団が第二次再審請求の棄却に対する異議申立の棄却を受けて2002年に行なった特別抗告を棄却する決定を下したことを知りました。ドイツにおけるスィンティとロマによる16の地域組織が加盟するドイツ・スィンティ・ロマ中央委員会は、この決定に強く抗議します。
反差別国際運動(IMADR)を通じた共闘関係を始めて以来、中央委員会と部落解放同盟は、石川さんに対する訴追は差別にもとづく見込み捜査や報道にもとづくものであるとし、それを最優先の課題として取り組んで参りました。なぜなら私たちは、司法と法執行機関の運営において、弱い立場のマイノリティに対する差別が蔓延しているという事実をよく知っているからであります。このことは、日本のみならずドイツ、そしてヨーロッパの他の国々においても言えることです。実際、スィンティとロマも頻繁に警察の暴力の対象となり、そして司法における平等な取り扱いを絶えず拒まれているのです。
差別と人種主義と効果的に闘うために、国家は国際的な人権基準を遵守し履行しなければなりません。したがって、日本の司法ならびに政府当局は、石川さんの再審への道を開き、彼に正義をもたらさなければならないのです。
2005年3月21日
ドイツ・スィンティ・ロマ中央委員会
議長 ロマニ・ローゼ (IMADR理事)
【IMADR北米委員会(アメリカ)より】
IMADR北米委員会を代表して、IMADRと部落解放同盟、そして狭山事件の第二次再審請求の特別抗告棄却を決定した日本の司法システムに抗議する世界の差別と闘う他の人びとへの連帯を表明します。
2005年3月22日
IMADR北米委員会
代表 リム・スン・マン(ニュージャージー・ウィリアム・パティソン大学名誉教授/IMADR副理事長)
マイケル・シャープ
【タミルナドゥ女性フォーラム(TNWF)(インド)より】
タミルナドゥ女性フォーラム(TNWF)は、石川一雄さんに正義がもたらされることを求めます。
TNWFは、タミルナドゥ・ダリット女性運動とともに、狭山事件の第二次再審請求を退け、差別を永続化させた日本の司法手続きを非難するものです。TNWFは最高裁判所第一小法廷に対し、狭山事件の再審を開始するよう求めます。TNWFはまた、検察が手持ち証拠を開示し、公開の手続きのもとで石川さんに正義をもたらすよう求めます。
TNWFはまた、日本政府に対し、自由権規約に則り警察による被疑者の拘禁に関する制度を改善するよう要請します。
TNWFはさらに、日本政府に対し、人種差別撤廃委員会による一般的勧告に十分に配慮し、世界人権宣言にもとづいて人権を尊重し、即時に措置を取るよう求めます。
2005年3月23日
タミルナドゥ女性フォーラム
タミルナドゥ・ダリット女性運動
代表 ブルナド・ファティマ・ナティサン(IMADR理事)
【アジア移住者フォーラム(MFA)(フィリピン)より】
アジア移住者フォーラムは、日本の狭山事件についての日本の最高裁判所による決定に関する反差別国際運動(IMADR)の声明を支持します。わたしたちは、同声明に述べられように、検察が手持ち証拠を弁護団に開示し、28年間にわたり閉ざされてきた再審への扉が開かれ、石川さんに正義がもたらされることを求めます。
2005年4月6日
アジア移住者フォーラム
資料・狭山事件異議申立請求棄却に対するIMADR声明(2002年1月29日)
■この声明に関するお問合せ
反差別国際運動(IMADR) 〒106-0032東京都港区六本木3-5-11
Tel: 03-3586-7447 Fax: 03-3586-7462 Email: imadris@imadr.org
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