在日コリアンの子どもたちに対する暴力や嫌がらせ、石原東京都知事や官僚・政治家による差別発言―このような事件が起きるたびに、多くの人が抗議の声をあげてきました。
また、被差別部落出身者に対する差別ハガキ送付事件や「外国人お断り」とする入店拒否事件などに見られるように、日常的な生活圏域においてさまざまな差別を受けている人が日本に存在し、現行の法律や制度によっては救済されず、多くの人が泣き寝入りを強いられている事実があります。
多大な時間と資金、労力のかかる裁判だけではなく、迅速で簡易に救済を求められる実効性のある国内人権機関の設置が必要ですが、依然として日本にはそのような法律や機関は存在していません。
国際的には、とりわけ1990年代以降、多くの国で政府から独立した国内人権機関が設置されています。1993年には、国連総会が「国内人権機関の地位に関する原則(パリ原則)」を採択し、国内人権機関がクリアすべき最低基準を確認しています。
2005年に廃案となった人権擁護法案は、差別を禁止する規定を持つはじめての法律として一定の評価はなされたものの、パリ原則には程遠い内容であり、政府から独立し効果的に人権救済を行なうことができる機関の設置を期待できるものではなかったことなどから、国内外から厳しい批判が相次ぎました。それ以降、国会での審議など具体的な動きは見られていません。
IMADR-JCも参加する「人権の法制度を提言する市民会議(人権市民会議)」が、
「日本における人権の法制度に関する提言」を発表しました。(外部リンク)
一方、マイノリティの人権をおびやかす法律や政策があることも事実です。とりわけ「9.11」以降、平和や安全保障、「テロ対策」の名の下で、「異質」だと思われる人びとに対する徹底した管理、排除の体制が着々と強化されています。近年の例でいえば、法務省入国管理局による「不法滞在」外国人に関する匿名メール通報制度の導入や、入国管理法の改定(2006年5月成立)などが挙げられます。「外国人」であるという個人の属性のみを根拠に「犯罪予備軍」とみなし、管理・排除するこれらの法律は、外国人差別を正当化する非常に危険な法律です。また、そのような政策に反対するマイノリティ当事者運動や人権運動などによる活動を規制・弾圧する恐れのある「共謀罪」の新設も画策されています。
このような情勢のなかでIMADR-JCは、差別禁止法や人権侵害救済法の早期制定を求めるとともに、「共謀罪」の新設など、さまざまな人種主義・人種差別的政策・方針に歯止めをかけていくことによって、国家が人種主義を制度化することに反対しています。マイノリティ当事者団体・個人による広範な連携にもとづく共同行動を展開し、国内・国際レベルにおいて発信できるよう活動をつなげる役割を担っています。