【セクション説明文:日本における人権差別の撤廃にむけて】

日本には、人種主義・人種差別・外国人嫌悪が確かに存在します。そして、その影響は、被差別部落の人びと、アイヌ民族、沖縄の人びと、朝鮮半島・中国などの日本の旧植民地出身者とその子孫、アジア諸国および世界各地からやってきた外国人・移住労働者などに及んでいます。日本政府を含むあらゆる主体が、「見えなくされてきた人びと」「存在をきちんと知らされてこなかった人びと」が確かに存在することを認識し、それらの人びとが直面する差別の実態と、その背景にある社会、経済、政治的構造ならびに歴史や固有の文化について理解を深め、適切な方策を講じることなしに、多民族・多文化共生社会の構築は不可能です。反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)は、そうした認識にもとづき、マイノリティ当事者を中心とした多くの団体・個人とともに、さまざまな提言活動・情報発信を行なってきました。

上記の認識に基づき、IMADR-JCのよびかけにより、「人種差別撤廃NGOネットワーク」が結成されています。同ネットワークは、日本のマイノリティ当事者団体・個人が中心となり、人種主義・人種差別・植民地主義の撤廃に取り組む団体・個人も参画し、歴史的に周縁化・不可視化されてきたマイノリティ集団の存在と歴史、差別の実態に対する相互理解を深め問題意識を共有し、国際的な人権保障メカニズムを有効に活用し、具体的な解決策としての法制度の撤廃や実現を求める広範なネットワークです。

ネットワークは、国連「現代的形態の人種主義・人種差別・外国人嫌悪/排斥および関連する不寛容に関する国連特別報告者」であるドゥドゥ・ディエンさんによる日本公式訪問報告書(ディエン報告書)を、日本における人種主義・人種差別・外国人嫌悪の問題を包括的に捉えた初めての国連文書であると高く評価しています。そして、同報告書を「守り・広め」、「政策責任主体に勧告を実施させ」、また報告書を「語り合い、語りなおす」取り組みを進めることを通じた勧告事項の国内実施を目指しています。2007年2月には、日本政府が国連人権理事会に提出したディエン報告書に対するコメント文書(「口上書」)への、NGOの立場からのコメントを共同で作成、同人権理事会に提出しました。

ネットワークはまた、上記と連動する形で、人種差別撤廃条約(ICERD)の国内実施を目指しています。
日本政府は、2000年に同条約の締約国として報告書(第1回・2回政府報告書)を提出しており、翌年にこの報告書やNGOからの報告にもとづいて、人種差別撤廃委員会による審査が行なわれました。現在、次回(第3回・4回)の政府報告書作成過程が始まっています。ネットワークは、前回の報告書審査を経て人種差別撤廃委員会が採択した最終見解を踏まえ、政府がこの条約の締約国として求められる措置をとるよう働きかけています。

これまでの動き・活動(2005年・ディエン報告書に関する動き以降)
■2005年7月3-11日
人種主義等に関する国連特別報告者による日本公式訪問
■2006年1月24日
同特別報告者の日本公式訪問報告書(ディエン報告書)、国連人権委員会に提出
■2006年3月7日
日本のマイノリティ当事者をはじめ、人種主義・人種差別の撤廃に取り組む団体・個人が、ディエン報告書の提出を受けた院内集会・記者会見を開催、NGO共同声明共同公開書簡を発表
外務省主催「人種差別撤廃条約政府報告作成に関するヒアリング」にて、NGO共同申し入れ
■2006年5月13-18日
ディエン特別報告者、日本公式訪問フォローアップのため再来日
■2006年6月26日
日本政府より、ディエン報告書に関する「口上書」
国連提出
■2006年7月28日
外務省主催「人種差別撤廃条約政府報告に関する関連省庁との意見交換会」にてNGO共同申し入れ
「人種差別撤廃NGOネットワーク」発足
■2006年9月18日
ディエン報告書、国連人権理事会第2会期で発表
■2006年11月6日
ディエン特別報告者、国連総会第61会期で年次報告書を発表。日本公式訪問のフォローアップも扱われる
■2007年2月16日
人種差別撤廃NGOネットワークより、人種差別撤廃条約に関して外務省へ申し入れ書を提出
■2007年2月24-27日
ディエン特別報告者が再来日
■2007年2月27日
人種差別撤廃NGOネットワーク立ち上げ記念集会開催。ディエン報告書に関する日本政府「口上書」に対するNGOコメント文書発表
ネットワーク代表者による主要政党表敬訪問
■2007年3月27日
ディエン特別報告者、国連人権理事会第4会期で年次報告書を発表。人種差別撤廃NGOネットワークの発足も扱われる

■ 人種差別撤廃NGOネットワーク

活動内容:
1. 情報共有
メーリングリスト、ウェブサイト等を通じた各種情報共有・発信を行ないます。
2. 情報の周知
ディエン報告書日本語訳、「NGO共同声明」、「ディエン特別報告者への共同公開書簡」、ディエン報告書に対する日本政府「口上書」へのNGOコメントなどの基本文書を作成、配布します。主要政党、国会議員、自治体、マスコミ、その他のメディア、市民社会への情報発信とコミュニケーションの促進も行ないます。
3. 相互理解・連帯の促進
「人種主義・人種差別撤廃フォーラム(仮)」の開催や、差別実態と歴史認識についての「白書」の作成を進めます。
4. 政策形成に向けた活動
a) 国連におけるディエン報告書に関する討議への対応、b) ディエン報告書に対する日本政府の「口上書」(反論文書)へのNGOコメント文書の共同作成、c) 人種差別撤廃条約の国内実施に関連する活動、d) 各政党・関係省庁などへの共同要請行動、などを行ないます。

代表世話人: 武者小路公秀(反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)理事長)

ネットワーク参加者(50音順・2007年6月13日現在、82団体29個人):

団体
ARC(Action for the Rights of Children)/I女性会議/アイヌ資料情報室/アイヌの女の会/アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」/アジア女性自立プロジェクト/アジア女性資料センター/アプロ女性実態調査プロジェクト/アムネスティ・インターナショナル日本/移住労働者と連帯する全国ネットワーク/インターネット上の差別に反対する国際ネットワーク(INDI)/うさちゃん騎士団SC/ウトロを守る会/「枝川裁判」支援連絡会/江戸川ユニオン日本語教室/海老名解放教育研究協議会/沖縄市民情報センター/外国人人権法連絡会/外国人の子どもの教育と人権ネットワーク/外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会(外キ協)/(財)解放教育研究所/社団法人神奈川人権センター/かながわみんとうれん/カラカサン―移住女性のためのエンパワメントセンター/特定非営利活動法人 監獄人権センター/関西沖縄文庫/旧植民地出身高齢者の年金補償裁判を支える全国連絡会/共住懇(外国人と共に住む新宿区まちづくり懇談会)/コリア渡来人協会/NPO法人京都コリアン生活センターエルファ/国賠ネットワーク/特定非営利活動法人コリアNGOセンター/「婚外子」差別に謝罪と賠償を求める裁判を支援する会/在日外国人「障害者」の年金訴訟を支える会/在日外国人の年金差別をなくす会/在日韓国人問題研究所(RAIK)/在日韓国・朝鮮人高齢者の年金裁判を支える会京都/在日韓国民主女性会/在日コリアン青年連合(KEY)/「在日」女性の集まり「ミリネ」/在日朝鮮人・人権セミナー/在日無年金問題関東ネットワーク/狭山事件を考える青森県住民の会/市民外交センター/障害年金の国籍条項を撤廃させる会/特定非営利活動法人人権センターとちぎ/人材育成技術研究所/すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク(RINK)/世界人権宣言大阪連絡会議/CCS  世界の子どもと手をつなぐ学生の会/全国大学同和教育研究協議会/全国同和教育研究協議会/戦後補償ネットワーク/先住民族の権利ネットワーク/先住民族の10年市民連絡会/NPO法人多民族共生人権教育センター/中国帰国者の会/朝鮮人強制連行真相調査団/『同和問題』にとりくむ宗教教団連帯会議/日本カトリック正義と平和協議会/日本カトリック難民移住移動者委員会/日本カトリック部落問題委員会/日本キリスト教協議会在日外国人の人権委員会/年金制度の国籍条項を完全撤廃させる全国連絡会/反差別国際運動(IMADR) /反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC) /(財)反差別・人権研究所みえ/反差別ネットワーク人権研究会/ピースボート/ピープルフォーソシャルチェンジ/フォーラム平和・人権・環境/社団法人部落解放・人権研究所/部落解放同盟中央本部/社団法人北海道ウタリ協会/民族差別と闘う大阪連絡協議会/ヤイユーカラの森/ゆいまーる「琉球の『自治』」―万人のもあい/琉球弧の先住民族会(AIPR)/琉球センター・どぅたっち/レラ・チセ/レラの会/和歌山市子ども会連絡協議会

個人
新井かおりんだ/有道出人/一戸彰晃/于保田/金子マーティン/熊本理抄/柴田文恵/島崎匡也/辛淑玉/鈴木ベロニカ/宋恵淑/高嶺朝誠(高良勉)/車大仁/暉峻僚三/土井桂子/友岡雅弥/友永雄吾/丹羽雅雄/旗手明/裵安/福岡安則/藤本伸樹/藤本美枝/杜真矢/安原桂子/山田健太/山村淳平/李淑子/我彦実

世話人(50音順)
阿部ユポ(社団法人 北海道ウタリ協会 副理事長)/李美葉(NPO法人 多民族共生人権教育センター 理事長)/上村英明(市民外交センター代表)/当真嗣清(琉球弧の先住民族会(AIPR)代表)/郭辰雄(特定非営利活動法人 コリアNGOセンター運営委員長)/喜久里康子(沖縄市民情報センター 代表)/金秀一(かながわみんとうれん幹事)/佐藤信行(在日韓国人問題研究所『RAIK通信』編集長)/宋貞智(民族差別と闘う大阪連絡協議会 代表)/友永健三(社団法人部落解放・人権研究所所長)/レニー・トレンティノ(カラカサン―移住女性のためのエンパワメントセンター)/丹羽雅雄(弁護士)/長谷川修(レラの会会長)/河炳俊(コリア渡来人協会 代表)/早崎直美(すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク(RINK)事務局長)/森原秀樹(反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC) 事務局長)/師岡康子(外国人人権法連絡会運営委員)/和田献一(部落解放同盟 中央執行委員)/渡辺英俊(移住労働者と連帯する全国ネットワーク 共同代表)

2007年08月30日

関連情報

人種主義等に関する特別報告者の日本公式訪問報告書について

人種差別撤廃条約について

   1・2回政府報告書審査過程

   3・4回政府報告書作成過程

 

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