約20年間にわたる紛争の後、2002年2月にようやく「平和」を手にしたはずのスリランカの人びとが、2005年末以来、紛争の再開という危機的状況に直面しています。
1983年から約20年間続いた内戦は、国家権力の中枢を担うシンハラ人(主に仏教徒)が、少数のタミル人(主にヒンドゥー教徒)の政治・行政への参加、言語や宗教の保護を保障しないことへの不満を背景に始まりました。2002年の停戦合意後、平和への期待とは裏腹に、和平交渉がなかなか進展しない状況のなかで、2004年末にインド洋大津波がスリランカを襲いました。
IMADR は、停戦後の平和構築や津波被災からの復興において、マイノリティが排除されないよう、また、マイノリティの人びと自身がそういった困難から立ち上がることができるよう、日本国内外に支援を呼びかけてきました。反政府勢力に強硬姿勢をとる大統領が就任して以来激化している攻撃や戦闘、ましてや紛争の再開は、そういった人びとのこれまでの地道な努力を根底から覆すものであり、IMADRはこの事態を強く懸念しています。
IMADRはこれまで、スリランカ国内各地域の草の根グループが集うIMADRアジア委員会(在コロンボ)を拠点に活動してきました。津波や紛争によって発生した避難民への支援や提言活動なども、これらのグループとともに連携して取り組んでいます。
IMADRアジア委員会の主な活動
■紛争被害者、難民/国内避難民のための自立支援、再定住促進、開発活動
紛争被害者・難民/国内避難民(とりわけ女性)自身が声を上げ、自立できるよう、生活支援、再定住促進などの活動を行なっています。ポロンナルワ、ディキリッタ、ダンブッラなどにおいて、保育所、建物、トイレといったインフラ整備を行なってきました。
■平和構築・人権に関する提言活動と取り組み
北部のジャフナや、東部のトリンコマリを拠点とする草の根の組織とともに、シンハラ人居住区の境界線地帯、タミル人居住地域、国内避難民といった人びとが受けた暴力や避難生活についての聞き取り調査を行なってきました。この過程でネットワーキングを行ない、平和に向けた拠点となりうる、村々における女性グループを形成するとともに、平和のための地域や民族を超えた対話を発展させてきました。
今年5月、長年続いたスリランカ政府とタミル・イーラム解放の虎(LTTE)との間の内戦が、スリランカ政府による軍事決着により「終結」しましたが、スリランカ政府はLTTEの再組織化を恐れ、未だに25万人の人びとを軍が管理するキャンプに収容し、劣悪な環境の中、人びとを拘束しています。
政府軍とタミル・イーラム解放の虎(LTTE)との戦闘が続くスリランカ北部でこの数日、政府軍による無差別攻撃が立て続けに行なわれ、多数の民間人が死傷していると伝えられています。この事態を受けてIMADRは5月14日、緊急声明を発表しました。
■スリランカ人移住労働者女性の権利保障促進
国外で働くスリランカ人移住労働女性に対する人権侵害を記録し発信するとともに、女性たちの自信回復を行ない、定期的に会って人権侵害に対する保障を獲得するための支援をしています。移住労働女性たちの政治レベル、意思決定機関への参加促進や組織化にも取り組んでいます。
■門地/カーストにもとづく差別に対する提言活動
中部プランテーション地帯のタミル人労働者のグループと連携し、スリランカにおける門地/カーストにもとづく差別について調査・提言活動を行なっています。
■国際人権メカニズムの利用促進
マイノリティや被差別の当事者による国際人権メカニズムの利用促進をサポートしています。人種差別撤廃条約活用マニュアルのシンハラ語、タミル語での出版、ならびにそれを活用したトレーニングなどを行ないました。
■先住民族ヴェッダ・コミュニティの自立支援
マヒヤンガナヤで、先住民族の人びとや、開発に向けて活動を進めている集団と緊密な関係を築いており、酪農組合の支援などを行なってきました。