カースト差別や部落差別は、各国の固有の問題として捉えられ、最近まで、国連をはじめとした国際社会で、その解決にむけたとりくみはほとんどなされてきませんでした。IMADRは、部落やダリットの人びと、部落解放同盟や部落解放・人権研究所をはじめとする国内外のNGO・運動体・研究者と共に、この問題が世界に共通する課題であり、その共通性を『職業と世系(門地/社会的出自)』に基づく差別として国際社会に提起してきました。その結果、国連は「世系」「職業と世系」に基づく差別が、国際社会が取り組むべき共通の課題であることを認識し、問題の解決にむけての基準や指針つくりが進められることになりました。
具体的には、①人種差別撤廃委員会において、1990年代の後半以降、これらの差別が、人種差別撤廃条約の第1条で規定されている「世系(descent)(門地/社会的出自)」に基づく差別として捉えられ、人種差別撤廃委員会は、2000年8月に、条約第1条で規定されている「世系」に関するテーマ別討議を行ない、「世系に関する一般的勧告29」を採択し、カースト制度およびこれと類似する身分階層構造に基づく差別が世系の対象となることを再確認すると共に、こうした差別を撤廃するために各国がとらねばならない基本方策を提示しました。これは、世系差別撤廃にむけた、初めての国際的な人権基準です。
②また、かつての国連人権促進保護小委員会は、2000年以降、職業と世系に基づく差別に関する研究を積み上げ、2004年には、この問題に関する2人の特別報告者を任命し、3年間でこの問題の解決の為の「原則と指針」をとりまとめ報告することを求めた決議が採択されました。
現在、国連改革によって人権小委員会は廃止され、人権理事会諮問委員会として新出発することになりましたが、これまで特別報告者が作成してきた「原則と指針」案が宙に浮くことなく国連によって採択されるよう、国際ダリット連帯ネットワーク(IDSN)などと共に、国連や各国政府に働きかけを行なっています。さらに、それらの人権基準が、部落やダリットの人びとをはじめ、職業と世系による差別を被っている人びとによって有効に活用されるよう、IMADRは広報に努めるとともに必要な支援を提供しています。
③また、人種主義等に関するディエン特別報告者による日本公式訪問では、被差別部落の人びとからの情報提供がなされ、国連に提出された日本公式訪問報告書には、部落差別に関する言及と勧告がなされています。
2007年08月30日