インドにはカースト制度により「不可触民」として社会の最下層に位置づけられたダリット(「壊されし人びと」の意)が1億6000万人いるといわれています。ダリットの人びとには、住居の隔離、井戸などの使用制限、寺や上位カーストの住む場所への立ち入りの制限、土地の権利に関する制約などの差別の他、残虐な暴力や殺人も行なわれています。また、ダリットは清掃業、糞尿や動物の死体の処理、皮革業を強いられ、極端な貧困状態にあり、債務奴隷の状態に置かれることもあります。
なかでも、ダリット女性は、カースト、階級、ジェンダーの底辺に位置し、日常生活のあらゆる場において、抑圧や暴力の対象となってきました。
「不可触性」はインド憲法でも廃止がうたわれ、またダリット保護法として市民権保護法や残虐行為防止法が制定されていますが、上位カーストの抵抗で機能していないのが現実です。
インドのタミルナドゥ州に拠点をおくIMADRのパートナー団体であるタミルナドゥ・ダリット女性運動(TNDWM)は、ダリット女性への抑圧や暴力は「運命ではない、立ち上がって共に声をあげよう」とダリット女性に語りかけ、ダリット女性の権利確立と組織化や運動強化のために次のような活動をしています。①法律に関するトレーニングや支援、②残虐行為や差別に関する事実調査、③文化祭典、④意識喚起をはかる州レベルのセミナー・会議、⑤人権侵害事件に対する抗議行動による問題提起。
2008年3月6日から8日まで、インド・チェンナイ近郊の村で「アジア農村女性会議」が行なわれ、「権利、エンパワメントと解放」のテーマのもと、アジア21カ国から女性たちが集いました。
また、IMADRの理事が代表を務める農村教育開発協会(SRED)では、ダリット女性を性的に搾取する慣習を変革していく取り組みや、ダリットのセックスワーカーへの暴力や人権侵害をなくすための当事者によるプロジェクトなど、多彩な取り組みをおこなっています。IMADRはこれらの取り組みを継続的に支援するとともに、同様の差別と闘ってきた日本の部落解放運動との経験交流が発展していくよう、相互の訪問交流を促進してきました。「ダリット子どもデイケアセンター」設置の取り組みは、その延長線上に、国際連帯活動の一環として行なわれています。